とんねるず

「“お膝元”フジの社長が直々に陳謝するのは異例にも思えます。これまでも『みなさん』だけでなく、数々の番組を炎上させてきたとんねるずですが、“いよいよ終了か”との声も聞こえてきます」(スポーツ紙記者)

 発端は9月28日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』(フジテレビ系)だった。石橋貴明が扮したキャラクター『保毛尾田保毛男』に、LGBT(性的少数者)当事者、支援団体が「差別や偏見を助長する」などと抗議したのだ。

 すると9月29日、同局の宮内正喜社長が定例会見で「時代が違った」と、早々と謝罪をしてみせたのだった。

 LGBTなどへの理解が深まり「ホモ」を蔑称とする昨今、28年ぶりに『保毛尾田保毛男』を登場させた演出は軽率であった感は否めない。一方で、お笑い評論家のラリー遠田氏は、時代の変化も叩かれる一因になったと話す。

昔はインターネットもなく、情報や評判が伝わる速度が遅かった。例えば番組を見ていない人は内容を知ることはなかったのが、今は誰でも共有できる時代になりました。“好きなら見ればいい。

 不愉快に思うのなら見なければいい”という線引きができていたのが、今は見ていない人でも情報と評判を得て文句を言えてしまう状況になってしまっているのです

 石橋貴明と木梨憲武からなるコンビ、とんねるずはたびたび“炎上”に見舞われている。近年は声高に叫ばれるようになった。

「特にタカさんです。女性芸能人への“セクハラ”指摘は日常茶飯事とされ、昨年に司会を務めた『オール芸人お笑い謝肉祭'16 秋』は、“下品”“低俗”などと批判が殺到して、BPO審議の対象となりました。そのたびに、とんねるずは“終わり”“時代に合わない”と言われてきたのです」(テレビ局関係者)

 それでも彼らが消えることはない。幾度となく打ち切りも報じられた『みなさん』も、フジテレビ企業広報部は「終了させる予定はございません」と、今回の騒動を受けてもなお、継続は既定路線だ。

「2人は“月9”ドラマと並んでフジの時代を築いてきた、いわば功労者です。6月に相談役に就いた日枝久さんをはじめ、放送開始時より一緒に番組を作ってきたプロデューサーやスタッフらは要職に就いています。彼ら“後見人”が健在のうちは“聖域”だとか」(テレビ局幹部)

 また、とんねるずは、自然と人が周囲に集まる“求人力”を持っているという声も。

「30周年記念SPに出演したビートたけしさんやタモリさん、笑福亭鶴瓶さんら大物芸人。また2人を目標にしてきた30代、40代の中堅芸人からの支持は高い。

 それは“普通はやらない”“やったらまずい”一線を越えてでもテレビをおもしろくしたい芸風と意気込みを認めているからです」(芸能プロ関係者)

 だからといって彼らは地位にしがみつくわけではなく、引き際を心得ているとも。

個人的な見解ですが、『みなさん』は石橋さんが世間との感覚のズレを感じて、ご自身で“もう無理だな”と思ったときに、終わりになるのだと思います」(ラリー氏)

 かつて時代を先取った2人は、時代から追われる身になってしまったのだろうか。