古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第34回は鮫肌文殊が担当します。

伊集院光 様

 この夏からテレビ朝日で『ラストアイドル』(毎週土曜 深夜0時5分〜 ※一部地域を除く)というアイドルオーディション番組を担当している。企画立案の秋元康さんのご指名で、『料理の鉄人』で知られる演出家の田中経一(話題の映画『ラストレシピ』の原作者でもある)と私とでタッグを組んでやっている。

 いにしえの『ASAYAN』以来、数限りないオーディションバラエティーを構成してきた私から見ても、今回の『ラストアイドル』のシステムはハンパないと思う。毎回登場する挑戦者1人が、暫定メンバー7人の中から1人を指名しパフォーマンス対決。審査の結果、挑戦者が勝てば即メンバー入れ替えとなる。

 これを12月のCD発売まで毎週繰り返して、最終的にサバイバルした7人で正式デビューするというもの。さすが秋元康! よくこんなスパイシーなオーディション方式を考えついたものである。

 この番組の収録現場の緊張感たるやすごい。特に審査結果が発表された瞬間、観客やスタッフも含め100人以上はいるスタジオが、まるで水を打ったようにシーンとなる。

 並みのMCなら、このヘヴィな雰囲気から次の進行へと持っていくのは到底無理。その難度Cのスタジオを回しているのが、今回、勝手に表彰したい男・伊集院光である。

伊集院光

 実はMCに伊集院さんをというのも秋元さんのアイデア。彼なら、かなりスパイシーな展開が予想されるスタジオを救ってくれると。そして、その目論見は見事に当たった。

 暫定メンバーの1人が挑戦者に敗れたとき、さっきまで挑戦者だった少女を新メンバーとして迎え入れなければならない暫定メンバー。心中は超複雑であろう。観客も同じ気持ちだ。その際の伊集院さんの物言いに、シビレた。