三遊亭好楽の弟子である三遊亭好の助が、5月の真打昇進と同時に好楽の前名『林家九蔵』を襲名予定だったが、ここに来て急きょ取りやめたことが報じられた。襲名は昨年末に発表していたものの、2月になって林家正蔵が異議を唱えたため、好楽が断念したという。

海老名家からの横やり

『スポーツ報知』の取材に正蔵は、《三遊亭に行かれたんだし、その一門で林家はおかしいでしょう》と反対した理由を話している。

 2月に好楽は台東区“根岸”にある正蔵の実家である海老名家に行き3時間も事情を説明。しかし、正蔵と母である香葉子夫人は、最後まで首を縦に振らなかったという。

正蔵師匠が表に立って発言していますが、実際は海老名家のゴッドマザーである香葉子さんが反対しているわけですよ。現に一門の林家ペーはテレビの取材に対して、“うちはおかみさんっていう存在が一番のキーマンですからね。春日局をなくしてはありえないので”と、彼女の絶対権力ぶりをアピールしていました」(スポーツ紙記者)

 そんな香葉子夫人の横やりに、落語界の多くはうんざりしているという。ある落語家は「余計なお節介ですよ」と怒気をこめながらこう話す。

「好楽師匠は昨年夏ごろから、『林家九蔵』の名付け親である先代・正蔵のご遺族や、現在所属する円楽一門会から襲名の了承を取っていた。それなのに、まったく関係ない海老名家から横やりが入るなんて、本当におかしいですよ」

 ちなみに、先代の正蔵のことを、落語家やファンは住んでいた場所を指して“稲荷町”の師匠と呼ぶ。彼は一代限りを条件に“根岸”に住む海老名家から『正蔵』の名前を借りただけなので、“根岸”の一門と師弟関係があるわけではない。

「ですので、“稲荷町”のご遺族やその一門が襲名を認めているのですから、問題はないんですよ。好楽師匠の兄弟子だった林家木久扇師匠だって、OKと言っていた。しかも、『林家九蔵』って“9人目の弟子だから”という意味で好楽師匠が“稲荷町”の師匠からもらった名前。

歴史ある名跡ならともかく、好楽師匠が持っている名前ですよ。こんな筋違いな言い分が通ったら、これからは林家の襲名は全部、海老名家の了承を得なくてはならなくなりますよ。そんなバカげた話はないでしょ」(同・落語家のひとり)