(文/フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班)
「池袋駅東口は高層ビルが増えて電力供給が追いつかなくなり、南池袋公園の地下に変電所を造ったんです。昔は30張りあったホームレスのテントを撤去し、5~6年かけて工事して、公園も昨年リニューアルオープンしました。もうホームレスはいませんよ」
豊島区立南池袋公園に近い飲食店の男性経営者は言う。
かつて池袋西口公園、西池袋公園と並んでホームレスのテントが多かった南池袋公園は、敷地内にカフェレストランのあるおしゃれな公園に変貌をとげていた。テントの痕跡すらなかった。
「五輪のための浄化ではありませんが、近所としては明るくきれいになったので大歓迎」と前出の経営者は喜ぶ。
駅西口の池袋西口公園と西池袋公園にもテントはなかった。ただし、テントを張らないホームレスらしき男性が少数いた。このへん一帯のホームレスのために炊き出しをやっている男性(68)が語る。
「池袋西口公園は昔、ホームレスが多かった公園。でも、今はほとんど生活保護を受けていて、昔の仲間がよく集うこの公園に来ているよ。怪しいNPO法人などがやっている宿で暮らしているけど、生活保護費を搾取(さくしゅ)する貧困ビジネスが多いみたいだね」
炊き出しには約300人が集まるという。大半は生活保護受給者でホームレスは100人に満たないそうだ。
「池袋西口公園のそばには東京芸術劇場もあるし、来年には野外音楽施設もできる。建て直した区役所の近くに映画館を集め、手塚治虫さんら漫画家が住んでいたトキワ荘もあるので、豊島区は芸術の街として売り出したいみたい。だけど、ホームレスに金をばらまくように生活保護を受けさせ、街をクリーンにするだけでは、根本的な解決にはならないと思う」
と前出の男性は言った。
JR山手線で新宿駅へ。
“東京の西の玄関”といわれる新宿は、昔からホームレスの多い場所だ。新宿大ガード下には4人の男性ホームレスがいた。70代の男性は、
「“テントは撤去”と言われるから少なくなったね。“宿に入って生活保護を受けないか”と声をかけられるけど、宿代と食事代でほとんど持っていかれるから入らない」