“50年に1度” “想定外” の大型台風が毎年のように襲うニッポン列島。台風19号の猛威は13都県に及び、河川の決壊で家屋が床上床下浸水。さらには流失するなど7万4000棟以上が被災した。甚大な災害に備えるべく、わが家を守る保険とは!? 専門家に聞いた。

保険はケチらず、できるかぎりフルで加入を

「大雨の怖さを初めて体験しました。川の近くに住んでいるので、スマホに避難勧告が来るたびに震えていました」(50代、主婦)

 広範囲に大きな被害をもたらした台風19号。家屋が床上浸水した場合、修理や家財に数千万円かかり、場合によっては建て直さなければならないというが……そんなお金、どうしたらいいの?

「50年に1度といわれる災害が、毎年やってくる時代になりました。万が一に備える保険はケチらずに、できるかぎりフルで加入することをおすすめします」

 と尾前損害調査オフィス代表の尾前美幸さん。

「自然災害のみを補償する保険はありませんが、火災保険(住宅保険)には水災、風災、雹(ひょう)災、雪災などの補償がセットになっています」(尾前さん、以下同)

 火災保険は通常、新築や分譲マンションなど持ち家を購入するときに加入するもので家屋と家財の損害を補償してくれる。家財の対象は家具や電化製品だけでなく、お箸や歯ブラシ1本、衣料などの損害も補償する。

 “火災”とついているためか、台風などによる損害を補償してくれるのが火災保険であるということを知らない人もいるという。

「火災保険は、水災や風災などがセットのパッケージタイプと、個別に選んでカスタマイズできるタイプがあります」

 例えば、保険料(掛け金)が高くなるからと水災を補償からはずすなど、さまざまな条件を考慮して補償を選べる。

「水災については、今回の台風のように河川が決壊すると、浸水だけでなく家が流されたりして被害が大きいので、補償からはずさないほうがいいと思います」

 マンション1階や戸建ての場合は、水災補償は必須だが、マンション上層階の場合は、水災を補償からはずすケースもあるそう。

 台風19号では、人気のタワーマンション地下が浸水、電気系統が全滅し、住民生活に支障が起きた。

「今回の電気系統の損害は、マンション管理組合が加入している火災保険の補償になります」

 ライフラインが使えずにホテル住まいをした住人もいたが、そうしたケースを想定した特約保険がある。

「費用保険金といって、ほとんどの損保会社にあります。例えば、楽天損保の“緊急時仮住まい費用保険”は、避難をして仮住まいをしたときの費用保険金が請求できるだけでなく、ペットが同伴できないとき、ペットの宿泊費まで支払い対象になるのが特徴です」