「家計を守るために細かな節約を意識することは大事です。しかし食費や光熱費だけを削るなどという偏った節約はアブナイ。食費を削ることを意識するあまりにストレスがたまったり、健康を害してしまったら本末転倒」
長期化が予想されるインフレで、値上がりするたびに一喜一憂していたらキリがない。もはや食費や光熱費が上がるのは仕方ないと覚悟して、その分、ほかの支出を削る、あるいは収入を増やすことを考えていきたい。
「コロナ禍の影響でお金の使い方は変わってきています。外出用の洋服代や化粧品代、外食等の交際費も以前より浮いたのでは?まずはいま一度、家計費の内訳を見直し、削れる支出を明確にしていきましょう」
見直しをして減らせるとわかっているものの、手をつけていない費目(通信費や保険料など)はないか。ほとんど利用していないのに口座引き落としされている費目(サブスクリプション契約料、クレジットカード年会費など)はないか。確認したい。
「増やす」策を
節約と同時に考えたいのが“収入を増やす”。例えば、食洗機や掃除ロボット、無水調理鍋などの時短家電を購入し、家事は機械に任せる。その分空いた1時間をパートに出たり、副業などで働く時間を増やす。働きに出るのが難しい人は、家の中を整理して、着なくなった洋服や不用品をフリマアプリに出品してお金に換えることもできる。
特に主婦層に人気なのが、自分のスキルや知識をお金に換える“スキルシェアサービス”。家事経験で得た料理・洗濯・掃除スキルを活かし、家計の足しにする人は多い。
「値上げ、物価高、出費増の傾向はますます加速するとみて間違いない。コロナで打撃を受けた企業は守りに入り、リストラに乗り出すところも。厳しい時代はまだ当分続くと考えたほうがいいでしょう。節約という守りの家計管理にも限界はあります。健康なうちに、家族みんなが協力して少しでも稼いでいくという攻めの考えが必要です」
監修/松崎のり子 ●消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)ほか。
〈取材/オフィス三銃士〉