キャッシュレスの時代になったとはいえ簡単には離れられない「硬貨」。これまで硬貨の取り扱いが無料だったゆうちょ銀行でもついに手数料を徴収するように。その影響は意外なところに及んで―。
小銭入金、手数料を取る理由
「財布の整理をするときに、小銭を貯金箱に入れて貯まったらゆうちょに預金していたんですけど……。硬貨の入金に手数料を取るようになったら、困りますね」
と、都内に住む50代の主婦は不満げに話す。今年の1月17日からゆうちょ銀行では、ATMや窓口で硬貨の預け入れや振り込みに手数料がかかるようになった。
都市銀行などではすでに、
'19年末から硬貨の取り扱いの際に手数料を徴収するようになっており、ゆうちょ銀行は硬貨を無料で預けられる“最後の砦”だった。
「50枚までは無料ということなので、硬貨を数えて手数料がかからないように持っていかないと。それにしても面倒ですよね」(前出・主婦)
しかし、どうして今の時期に手数料の改定を行ったのか? ゆうちょ銀行の広報に話を聞いた。
「改定の時期については、順次、お客さまの利用状況や当行の経営環境も踏まえまして、検討をしております。その結果、今回の料金改定となりました」
だが、「硬貨も紙幣も同じお金。それに、出金に手数料がかかるのはまだわかるが、お金を預け入れるときにもかかるのは納得できない」という預金者の声もある。そんな声をゆうちょ銀行にぶつけてみると、「そういったお声はかなりいただいておりまして、私どもとしても心苦しいところがあります」と話しながらも、
「硬貨の利用が近年増えておりまして。持ち込んでいただくとき、機械で計数するのですが、外国のコインなど硬貨以外のものが紛れていて、詰まって故障してしまうことがあります。また、硬貨が行内にたまりますと、それを輸送しなくてはなりません。
そういった機械の保全や輸送費に、年間で数億円のコストがかかっています。なので今回はお客さまに、一定の負担をお願いするという形になりました」