「当初、自殺で処理していたのは判断ミス。初動捜査に誤りがありました」
捜査関係者は率直に悔恨の念を口にした。
岡山県警岡山東署と県警捜査一課は15日、岡山市東区のアルバイト・奥山雄太容疑者(30)、同市中区の無職・木浦修平容疑者(30)、同市北区のアルバイト・松森裕太容疑者(30)を、傷害致死の疑いで逮捕した。3人は共謀して、同市東区のパート従業員・水内悠太さん(27)を溺死させたというもの。
「事件は9月25日午後10時30分ごろ、同市東区の吉井川の岸壁で起きた。容疑者らは水内さんを川に背を向けて立たせて、木浦容疑者が水内さんの両腕付近を両手で突く暴行を加えて川に落とし、溺死させたのです」(全国紙社会部記者)
当日の川は満潮に近かったものの、岸辺なら150センチ程度の深さだった。成人男性であれば岸にもよじ登れたはずだが、
「被害者が泳げたのかどうかはこれから捜査しますが、服を着たままですし、パニックに陥った可能性があります」(前出・捜査関係者)
溺れる様子を見て驚いた木浦容疑者は、すぐさま川に飛び込んだが、被害者を岸にあげることができなかったという。事故直後に119番通報もしていたが、それでも間に合わなかった。
「水谷くんがみずから川へ飛び込んだ」と嘘の証言
だが、ここから事件は一変。警察の取り調べに対して、木浦容疑者は嘘の証言をしてしまうのだ。
「“水内くんから相談があると呼び出されて来たが、彼がみずから川へ飛び込んで自殺してしまった。奥山くんと松森くんはあとから呼び出した”と。警察は木浦容疑者の証言を鵜呑みにしてしまい、自殺として処理していたのです」(同・社会部記者)
ところが、10月20日になって良心の呵責に苛まれた容疑者のうちの1人が、知人に相談して付き添われて警察に出頭。再捜査して、今回の逮捕に至った。
「当然ながら殺人容疑としての逮捕も念頭にありましたが、これまでの証拠、供述、客観的な状況などを考慮すると、そこまでは厳しい。容疑者らは不作為、つまり何もせず見殺しにしたわけではなく、殺意もなかった。傷害致死が考えうる最も重い刑罰だと判断したわけです」(前出・捜査関係者)