人事異動で他校に転任したことはなく“市船”一筋の教師生活だった。どれほど強いチームをつくり上げようと、公立学校の指導者に転任はつきもののはず。なぜ一度も異動がなかったのか。

「船橋市内の市立高校は同校しかありませんので異動先がないんです。県が採用した県立高校教諭が市船に転任してくることはあるんですが、その逆の仕組みはありません。もともと市で採用した教諭は少数にとどまり、石井教諭は最後の『船橋市採用教諭』なんです」(市教委の担当者)

 同部顧問3人のうち最も指導経験の長い石井容疑者が試合では監督を務めた。しかし、練習は3人で分担していたという。他の顧問は男子部員が練習着を脱がされそうになった時点で止めに入らなかったのか。県警は日常的に暴行していた可能性も視野に入れ、捜査を進める方針だ。

生徒や保護者から暴力・暴言の訴えはなかった

「警察が捜査に入っているため、他の顧問や部員から詳しい話を聞けていません。石井教諭については指導方法が問題視されたことはなく、生徒や保護者から暴力・暴言の訴えもありませんでした」(市教委担当者)

 逮捕を受けた記者会見で同校の津田亘彦校長は、石井容疑者が体罰にナーバスになっていたと明かした。時代が変わったことを受け止めていたというのだ。

 石井容疑者は校長との対話で、

「いわゆるレシーブ練習で、あちこちにボールを散らす練習をしたときに『それは厳しいんじゃないのか』という声も聞かれました。こういう練習も厳しいといわれたらなかなかバレーで鍛えることは難しくなっている時代なんですよね」

 と話したという。