“はじめての消費税申告”はこの書類を使うのが一番お得!
この書類は正式には「付表6 税率別消費税額計算表〔小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕」という名前。通常版と簡易版の2種類あるが、提出するのはどちらか1つでOK(本記事では通常版を使用)。
どちらも国税庁のホームページでPDFをダウンロードできる。このほかに必要な「消費税申告書第一表」、「消費税申告書 第二表」もダウンロード可。
・インボイス制度を機に課税事業者になったフリーのデザイナー。
・直近5年間の売り上げは年1000万円以下。副収入や仕入れはなし。
・2023年10月~12月分の売り上げは税込み110万円。
・売り上げにかかる税率はすべて10%(8%のものはない)。
(1)左は、売り上げにかかる消費税の税率が8%の欄、右は税率10%の欄。今回想定しているケースはすべて10%なので右の欄のみ使用(右端の欄は8%と10%の合計額を記入する欄)。
(2)請求書や帳簿などから2023年10~12月の税抜きの売り上げ額(課税売上高)を計算して上の欄に記入。下の欄には右3桁を省いて記入すればOK。
(3)上の売り上げ100万円のうち、国に払う分の消費税7.8%を算出(1,000,000×0.078=78,000円)。なお、ここまではどの計算方式でも同じ。2割特例の本領発揮はこのあと!
(4)上の欄で算出した「国に払う分の消費税額78,000円」から、その8割を“特別控除税額”として差し引くことができる(78,000×0.8=62,400円)。つまり、国に支払う消費税は、上の欄と下の欄の差額(78,000-62,400=15,600円)だけでOK!
(5)消費税は国だけでなく、地方にも払う必要あり。上と下の差額15,600円に地方消費税率(22/78)を掛けた4,400円が地方税。
つまり、国(15,600円)と地方(4,400円)の合計額20,000円が「納税すべき消費税の金額」ということになる。(なお、20,000円という金額は「消費税申告書 第一表」に明記することになる)
(6)付表6が完成したら、それをもとに「消費税申告書 第一表」と「消費税申告書 第二表」を作成。なお、第一表には「原則課税用」と「簡易課税用」があるが、どちらを使っても問題ない。
第一表の「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」という項目に〇を記入するのを忘れずに。上記3つの書類を所轄の税務署に提出すれば消費税の申告は完了!
国税庁のYouTubeチャンネル「国税庁動画チャンネル」にも、2割特例の申告方法を紹介した動画あり。
教えてくれたのは……寺西 遊さん●SSTC税理士法人所属。監修書に『はじめての消費税申告』(メディアックス)など。
取材・文/八坂佳子