記念硬貨なんて持ってないもん……という人も、がっかりするのはまだ早い。古い貯金箱や財布の中にあるごく普通の小銭が、レアコインの可能性も!
「昭和最後の年である昭和64年は50円玉と100円玉が発行されず、それ以外の硬貨も発行枚数が極端に少ないため高値で取引されています。また平成最後の年となった平成31年は、1円玉と50円玉の発行枚数が非常に少なく、現在も人気です」
ネットオークションをのぞいてみると、何の変哲もない平成31年の50円玉が600円ほどで販売されていた。高額取引とまではいかないが、偶然こんなレア硬貨を財布の中に見つけたらちょっぴりうれしくなることは確かだ。
「プレミア貨幣を手に入れてみたい人は、今がいいチャンスかもしれません。新紙幣発行に向けて現行の紙幣は印刷が終了しており、記番号のアルファベットが“Z―Z”のものがすでに出回っていると思われます。
先ほどお話しした“A―A券”とともに、人気の記番号のひとつです。財布の中のお札を一度確認してみてはいかがでしょう」
今回の新紙幣はまず、一万円札が6億枚、五千円札が7千万枚、千円札が8億3千万枚発行される予定。莫大な数に思えるが、近年の電子マネーの普及によりこれまでと比べ少ない発行枚数となった。
発行初日に銀行の窓口でまとまった現金を下ろして、新紙幣の“A―A券”を狙ってみたい気もするが……。
「それはコレクター全員が一度は考えること(笑)。でも“A―A券”ひとつとってみても、どの都道府県に、どんなふうに配分されるかはまったく未知数で、日本銀行は決して教えてくれません。全国のすべての銀行の支店数を考えると、残念ながら非現実的ですね」
金は天下の回りもの。ひょんなことから自分のもとに、レア紙幣が回ってくる幸運を願うしかなさそうだ。
教えてくれたのは……伊藤亮太●ファイナンシャルプランナー。証券会社に勤務後、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」を設立。著書に『図解即戦力 金融のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など
取材・文/植木淳子