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 女性の格好をした東大の教授として『アウト×デラックス』(フジテレビ系)などに出演して、注目を集めている安冨歩教授。

「私が所属しているのは東京大学の研究所なので、義務として講義を行うということではないんですよ。頼まれたらやるという形です。京都にある大谷大学の仏教学科では、毎年頼まれるので“仏教と社会”というテーマの講義を行っています」

 普段から大学で講義をすることはあまりないそうだが、登壇したときは生徒たちからどんな反応をされるのだろう。

「一瞬、ギョッとしていましたけど、すぐになじんじゃいますね。この前、真宗大谷派の岡崎別院でジェンダーについて講演したときは、私のことをすでに知ってくれていたので、逆に喜ばれましたよ」

 とはいえ、“女装している大学教授”と周囲から言われることには、強い違和感を感じているという。

「“女装”というのは、自分自身の性認識が男性の人が女性の格好をするもの。私の場合は、自分自身が男性だという性認識があまりないので、普通に服を着ると女性モノになるんです。これが私が“女性装”と呼んでいる考え方です。

 身体的には男性かもしれないけど、自分自身の認識は女性ということです。そういった人が服を着れば、当然、女性のものになりますよね。それが女性装です。私は以前は無理に“男装”をしていたんですね。だから、男装をやめたって言うんです」

 最近よく耳にする『LGBT』という言葉の中でいえば、安冨教授は“T→トランスジェンダー”(割り当てられた性とは違う性自認の状態にあること)にあたる。心が女性ということは、好きになる相手は男性!?

「それは女性限定なんです。男性はまったく好きになりませんね。だから、“トランスジェンダー・レズビアン”ということなんでしょう」

 身体は男性で女性の心を持っているものの、好きになるのもまた女性ということ。実は、過去に結婚もしている。

「言ってしまえば、結婚は母親の命令でした。私はレズビアンなので、特に違和感はないですよね。しかし、相手は男性と付き合っているはずなのに、手応えがまったくないから困ったでしょう。自分もそのときはトランスジェンダーをはっきりと認識していなかったので、カミングアウトもできませんでしたから」

 数年前まで、自分が女性の心を持っていることに気づかなかったという安冨教授。しかし、昔からその予兆はあった。高校時代も、卒業してからも付き合いのある友達は女性ばかりだったのだ。

「男くさい雰囲気は嫌いでしたね。男性ばかりがいる飲み会は気持ち悪くて行きたくありませんでしたから。サラリーマン時代は銀行員だったんですが、同僚の女子会によくついていっていました。

 不自然な感じになることもなく、すごく楽しかった。あとは、女性を差別するような発言を聞いたときもカッとなってしまうんです。なんでかなと思っていたんですが、そういうことだったんですよね」