4月22日の夕方、運転していた大型バイク『ハーレーダビッドソン』が転倒し、投げ出された萩原流行さんが後続車に轢かれ死亡した。
「昔からスティーブ・マックイーンのファンだったんですよ。マックイーンの持っていたこだわりというのが自分の中では一番カッコいいと思っていたようです」
妻のまゆ美さんによると、萩原流行さんがカウボーイの格好をするようになったのはそういう理由からだった。
あれから2か月以上たち、事故の真相がようやく明らかに。警察は、萩原さんのバイクと接触した警察車両の運転手が安全確認を怠ったことを認めたのである。事故原因を究明すべく孤軍奮闘していたまゆ美さんに、改めて萩原さんのことを聞いてみた。
「ホントに純粋な人でした。ピュアな心を持っていて、なんでも一生懸命でした。もちろんお芝居に関してもですが、それが彼のいいところでした。でも、社会的には非常に生きにくかったでしょうね」
ふたりが結婚して40年以上になるが、仲のよさは近所でも評判だった。日用品の買い出しのため、ふたりして近所のスーパーに出かけたり、喫茶店にお茶を飲みに行くことも。
「子どもはいなかったけれど、あの人が子どもみたいなもので。家にいるときは仕事のときとまったく反対に、ダラーッとしていました。それがまた、あの人の一番らしいところでもありました」
子どもみたいな萩原さんにまゆ美さんが小言をいうことが多く、それでしょっちゅうケンカになったという。
「あの人は自分がしたいようにする人だったので、ちゃんと前を向いてご飯を食べなさいとか、テレビを見ながら食べちゃダメとか、いちいち小言をいうと、それでケンカになっていましたが、そんなレベルですよ。最近は、うるさいクソババア、なんて言っていましたけど(笑い)」
そんな萩原さんがこだわったのが、あのカウボーイスタイル。冒頭にあるように、きっかけはスティーブ・マックイーンだったようだが、
「あの格好をするようになったのは40代になってからでした。バラエティーに出だしたころで、いつもあの私服で出ていました」
ここでも萩原さんの“子どもぶり”が発揮されていた。
「ハットだけじゃなく全身をそろえなきゃイヤみたいなうえに、ハットだけでも50個は下らないんです。ブーツも普通のじゃ飽き足らなくなってクロコダイルや象の革なんていうのもありました」
カウボーイスタイルでハーレーダビッドソン。まさにスティーブ・マックイーンを地でいく姿だった萩原さん。
「オートバイが趣味のように言われていますが、本当はあの格好で馬に乗りたかったんです。それができたら最高だったでしょうね」