1年間の休養を経て、自慢のトリプルアクセル(3A)に磨きをかけた浅田真央。グランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯優勝の勢いに乗り、第6戦NHK杯でも結果を出し、12月にスペインで開かれるGPファイナル進出を狙う。
中国杯ではSPで首位発進しながら、フリーでまさかの3位。2連続3回転で、2つ目のループで転倒し、後半も連続技が1回転フリップになるなど精彩を欠き、新鋭の本郷理華にフリーでは4.22点差をつけられた。
「シーズン初めということもあったと思いますが、フリーの4分間はつらいし、試合感覚が戻っていないと厳しいもの。中国杯を見た限りではフリーではもたもた感がありジャンプの流れが止まってしまい、失敗していたように映りましたね」(元フィギュアスケート日本代表の渡部絵美)
もうひとつ不安材料があるという。マスコミが決して触れたがらない、浅田真央の悪癖、ルッツの踏切違反だ。
「真央ちゃんから7シーズンぶりに、SPでも2連続3回転ジャンプの解禁宣言が飛び出したことで、中国杯の後には、《最高難度の構成点》、《圧巻の演技》《別次元の復活》などの見出しが新聞や週刊誌に並んだものです。 SPの詳細成績を見ると、3回転フリップ+3回転ループの2つ目が回転不足、3回転ルッツは踏切違反を犯していた。翌日の2連続3回転でもループが回転不足で、3回転ルッツ(基礎点4.62)は2回転(基礎点2.10)になり、わずか1.41点でした。苦手なルッツとループの修正が、女王復権のカギになりそうです」(ライター)
2連続3回転ジャンプといえば、浅田真央のライバルだったキム・ヨナの代名詞。3Aに匹敵する大技である。
'10年のバンクーバー五輪では、フリップ+トゥーループから、さらに高度で基礎点の上回るルッツ+トゥーループに進化させ、それを完璧に決めてSPとフリーともに歴代最高得点で女王に輝いた。
「そのキム・ヨナにしても、バンクーバー五輪前にはルッツで踏切違反をとられていてカナダのブライアン・オーサーコーチの下で修正に成功。それでジュニア時代は劣勢だった真央ちゃんとの直接対決を9勝6敗にまで広げたといえます」(前出・ライター)
浅田のルッツの修正に関しては、前出の渡部氏も昔からアドバイスを送り続けてきた。
「(中国杯の)3Aはとってもよくなっているんだけど、ほかは休養前のレベルに戻っていないように見えます。フリーは“どうしちゃったの?”と、後ろから押してあげたくなってしまったほどでした。ルッツにしても、跳ぶ前にエッジがチェンジしちゃう悪い癖が抜けない。小さなころに身につけてしまうと、なかなか直らないものなんですよ。今回も変わっていなかったですね」(渡部氏)