大阪府寝屋川市の中1男女が惨殺された事件で、平田奈津美さん(13)の死体遺棄容疑で8月21日に逮捕された契約作業員・山田浩二容疑者(45)。
平田さんと行動をともにしていた星野凌斗くん(12)も遺体で見つかり、残酷な結末を迎えたショックは大きい。
「逮捕後、うちの母親は“あの子、団地でカギのかかっていないヨソの家に勝手に入り込んで、物を食べていたことがあったのよ”と教えてくれた。舌足らずというか、あんまりしゃべらなくて、年少者にツバを吐きかけるなど陰湿で、みんなにちょっかいを出す。嫌がらせばかりして、子どもからも大人からも嫌われる小学生でしたね。彼はいつもひとりで遊んでいました」(同じ団地に住んでいた小学校の先輩)
山田容疑者は幼少期、同府枚方市香里ケ丘のマンモス団地に住んでいた。なにしろ評判が悪い。ここまで嫌われる小学生がいるのか、と思うほどだ。前出の先輩が続ける。
「彼が小学校の途中で引っ越していったときは、正直いってホッとしましたよ」
複数の関係者に取材を重ねると、聞こえてくるのは悪口ばかり。事件でピンときたのは一重まぶたと細長い鼻。中学の卒業アルバム写真と、最近自画撮りした画像を比べるとよくわかる。
年をとっても特徴的な顔立ちは変わらない。なぜ、こんなモンスターに育ったのか。
「容疑者のお母さんは幼いころから“何やってんの!”といつも大声で怒鳴ってばかりでした。ドツいたりしていたと思う。かわいがっている姿など1度も見たことがありません。愛情のない家庭に育ったから、グレたんでしょう」(前出の先輩)
両親と5歳下の妹と4人家族。親の財布から金をくすねたこともあったという。息子の悪評で居づらくなったのか、一家は2キロ先の枚方市山之上の戸建て住宅に引っ越した。
「お父さんはパン屋さんに勤務してはった。無口で仕事一筋という感じやね。お母さんはパート勤務。息子さんと顔がそっくりやねん。ただ、お母さんは体形がずんぐりむっくりやったけど」(転居先の近所の主婦)
一家はここでも目立った。周辺の話によると、山田兄妹はそもそも学校生活になじめていなかった。兄の悪影響か、妹まで学校をズル休みするようになったという。
「兄ちゃん(山田容疑者)が他人の自転車を駅から盗んできたとき、妹に“あかん。それは窃盗ゆうんやで”って言ったらポカーンとしていてな。なにせ兄ちゃんがいろいろと面倒起こしよる子やったから、両親とも近所付き合いをようせんかったんよ。世間体が悪いから、できひんわな。兄ちゃんが中学を卒業するころ、転居してきて5年ほどで出ていきはったわ」(別の女性)
山田容疑者は中学時代、窃盗、傷害などさまざまな犯罪に手を染めている。同じ中学生を監禁したのもこのころ。自分よりも弱い者しか標的にしない。何度も少年鑑別所の入退所を繰り返したという。
中学は1学年12クラスのマンモス校で同級生は500人近くいる。学校での評判はどうだったのか。同級生のひとりが振り返る。
「成績は下から数えて何番目かで悪かったですし、運動もからきしダメ。女の子と映画に行ったというようなエピソードもない。モテるどころか正反対。暗いし、言葉もたどたどしく話し下手ですから」
ワンダーフォーゲル部に所属。部活動で活躍したエピソードはない。不良グループに入っていたこともないという。
勉強もダメ、運動もダメ、女の子にもモテない。そのくせ弱い者いじめは大好き。およそ何の取り柄もない山田容疑者は、いじめの対象にならなかったのだろうか。
「いつもバカにされていましたが、いじめられたことはなかった。ケンカは最も弱いほうやと思いますよ。人とつるむタイプじゃなく単独行動を好んだ。学校に来ていない時期が2か月あって、シンナーをやったからだという話は聞きました」(前出の同級生)
(取材・文/山嵜信明と本誌取材班)