“日本警察史上最大の不祥事”と呼ばれる、実際に起きた事件をもとに描いた映画『日本で一番悪い奴ら』で主演を務めた綾野剛(34)。
「この作品の取材は、妙な緊張感があります。テレビでの番宣もなかなか難しいんです」
正義を貫くがゆえに裏社会へ身を投じ、結果あらゆる悪事に手を染め“堕ちていく”警察官・諸星要一の半生を演じている。
「今回、監督のお名前を聞いてすぐに“やります”って返事をしました。あまりの即答に関係者の方たちもビックリしたみたいです。でもプロットを見たら“拳銃200丁、覚せい剤130キロ、大麻2トン”って……そしてタイトルは『日本で一番悪い奴ら』ですから。これはもう参加しないわけがないって思いました」
本作を“代表作”と言いきれるほど、自身にとって唯一無二の作品になったと綾野。撮影期間中はずっと役に入りきっていたとか。
「いつもはカットがかかった時点で綾野剛に戻るんですが、今回は違いました。(YOUNG)DAIS君や(植野)行雄君との関係もあって諸星でいられるところは諸星でいようって思ったんです。だから休憩中に共演者とごはんに行っても “食えよ”みたいな。
撮影は本当に楽しかったです。何をしても面白くて、まさに青春って感じで。チャカの検挙率を上げるのに監督からは“高校球児が甲子園目指している感じで!”って。
監督がまた悪い人なんです。人をボコボコにする撮影でも“綾野さん、最高ッス!”っておっしゃってきたり。でも、監督は悪いことを描きたいわけじゃない。悪いことに関わった人間は、何か味があると信じていると思うんです」
自身も、こういった作品に出ることに意義を感じているそう。
「悪が立つからこそ正義が立つみたいな。世の中にはそういうバランスがあると僕は思っているんです。こういう映画が弱体してしまうと、とてつもない犯罪が起きてしまうかもしれない。
決して悪を推奨しているわけではありません。僕ができることとして、あくまでエンターテイメントとして響かせなきゃいけない、そういう努力をしていかなくてはいけないという使命感を持っているんです」
本気で挑んだ本作。22歳から48歳というひとりの男の半生を演じ、年齢に合わせて体重を10キロも増減させたことも話題になりましたが……。
「いや、今回の体重の変化っていうのは役作りの範疇には入っていません。自分の安定剤のためにやっていただけなんです」
迷うことなく“仕事が何よりも大切”と胸を張る。34歳、結婚願望は?
「関わってくれる人たちが増え、もう自分のためだけに働いていないんです。結婚願望はありますが、今の生活サイクルだと基本的には自分中心なので、そういう時期ではないのではないでしょうか」
では、具体的には何歳までに結婚したい?
「特に決めていません。将来子どもができて、その子が大きくなったときに一緒にいろんなところに行くのとかいいですよね。だから子どもが20代のうちにまだ50代だとついていけるかなと(笑)。僕の周りでも結婚したり子どもができたり“守るべきもの”ができて変わっていく。僕もいつか、そうなるときが来るのかもしれませんね」
◎映画『日本で一番悪い奴ら』
国家を守るはずの警察官が日本一のワルに!? 北海道警察の警察官・諸星要一(綾野剛)は“正義の味方、悪を絶つ”という信念のもと、裏社会のスパイ=S(エス)を仲間にして、あらゆる悪事に手を染めながら捜査をまっとうしていくが……。6月25日(土)より全国ロードショー
撮影/伊藤和幸