誰しもが胸躍らす時代を描いた黒柳徹子のエッセイをドラマ化した『トットてれび』(NHK総合・土曜夜8時15分)に魅了され、ハマる人が急増中。昭和28年、NHKの専属俳優となった徹子の波瀾万丈の人生を通して、テレビの歴史をひも解いていく。
テレビ草創期の愛と熱量にあふれる“トットワールド”を、制作統括の加賀田透プロデューサーに語ってもらった。
■玉ねぎヘアは大・中・小
「地毛を生かしつつ、かつらとミックスしながら玉ねぎヘアを作りだしています。大きさは大ダマ、中ダマ、小ダマとあって、年を重ねるごとに少しずつ変化していきますね。
以前、満島さんが役衣装で玉ねぎヘアのまま局内を歩いていたら、われわれの大先輩と偶然すれ違った際に“チャック(黒柳の昔からの愛称)かと思った!”って声をかけられたみたいで。黒柳さんを昔から知る人ですらビックリされたみたいです」
ちなみに、玉ねぎヘアの中にアメは……。
「この前、満島さんが仕込んでアドリブで渡していました(笑)。オンエアで登場するかもしれないので、ぜひご注目を」
■30分番組なのに衣装が何と〇〇パターン
劇中で満島が着ているキュートな衣装も大評判。
「とにかく黒柳さんは衣装に関して、“同じ洋服は2度は着ない”という伝説があるくらいの方。なので、ドラマでも1話で15パターンくらいある場合もあります。30分番組なので単純に2分に1回替わっている計算です(笑)。やはり、黒柳さんのドラマなので、ビジュアル的にも楽しめる作品にしたかった。衣装にもかなりこだわっていますね」
■あの中華飯店は実在していた
仕事の合間に徹子たちがいつも美味しそうに餃子などを頬張るNHK近くの中華飯店。
「『夢であいましょう』などに出演していた当時、黒柳さんたちが実際に行っていた千代田区内幸町のNHK近くの中華料理店をモデルにしています。ただ、向田邦子さんや森繁久彌さんが来たというのはフィクションなんですけど(笑)。
また、店主の王さん(松重豊)や客は、いわば視聴者の代表というポジション。黒柳さんのテレビでの活躍を、王さんたち当時の視聴者がどう見守っていたのかを表現しています」
■渥美清、向田邦子、森繁久彌……キャスト陣の役者魂
黒柳と親交の深かった役柄を演じる共演者陣の演技にも、外見ではなく雰囲気に、どことなくその面影が……。
「やはり満島さんと同じく、ものまねするのではなく、その人の持つ本質を演じてほしいとお願いしました。例えば、中村獅童さん演じる渥美さんは、黒柳さんと“兄ちゃん”“お嬢さん”と呼び合うほどの仲。なので、寅さんのイメージを持ちつつも、“兄ちゃん”というキーワードを膨らませながら役作りをされたと思います。
ミムラさんは、以前もNHKのドラマで向田さんの役を演じられた経験者。もともと向田さんの作品が好きということもあり、自然とそれがにじみ出ていました。
森繁さん役の吉田鋼太郎さんに関しては、黒柳さんからお名前が出て。外見とかではなく、森繁さんと吉田さんにどこか通ずる色気を感じ取られたみたいですね」
■後半戦にあの名物番組も登場!
「4話までが青春編とすると、5話(6月4日放送)からは友情編。向田さんや、渥美さん、森繁さんとの出会いから別れを中心に丁寧に描いていきます。歌あり踊りありの『トットてれび』らしいエッセンスも満載です。
また、5話に登場する『徹子の部屋』のセットは、テレビ朝日さんに取材させていただいて忠実に再現しました。そこでの満島さんの演技も必見です」
撮影/藏澄侑希