「今思うと、三谷(幸喜)さんの舞台(『酒と涙とジキルとハイド』2014年)に出させてもらったときに、“壁を走ったりできますか?” “水の中はどれくらい潜っていられますか?”と聞かれたのが、佐助役のオファーだったのかもしれません(笑)」
真田家に仕え、昌幸(草刈正雄)の代から信之(大泉洋)、幸村(堺雅人)らを陰で支えてきた佐助。
佐助の“モデル”となっている猿飛佐助とは、講談や立川文庫の小説に登場し、『真田十勇士』のひとりとして真田幸村に仕える架空の忍者。小説などでは夏の陣で敗れたあと、幸村とともに薩摩へ落ちのびたという結末もある。
彼を演じている、藤井がその“素顔”を語ってくれた。
「真田家で佐助というと、みなさん『真田十勇士』の猿飛佐助を想像されると思うんですけど撮影に入る前、プロデューサーから“いわゆる黒装束みたいなものを着ている忍者ではない”と説明されました。
身体能力が高く、木に登るのが早いとか、さっきまでここにいたと思ったらいなくなっているとか。そういう人物ですと。そう聞いて、壁を走らなくていいんだ、とひと安心しました(笑)」
寡黙で、ほとんど言葉を発しない佐助。演じるうえでの苦労は?
「撮影のとき“はっ!”というセリフでほとんど終わることにゾクゾクしていました(笑)。セリフがないほうがお芝居は大変だよ、と心配していただいた方もいらっしゃいますけど、それこそ共演している演者さんが佐助を作ってくれていると思っていますし、これまでの大河を支えてこられたスタッフの方がいろいろ教えてくださるので、自分なりにベストを尽くそうと、撮影に臨んできました」