「今井の母親と妹は1か月前、ひと言の挨拶もなく引っ越しましたよ」

 と横浜市内のマンションの住人は言う。

 川崎市の有料老人ホーム『Sアミーユ川崎幸町』で'14年11〜12月にかけ、入居する80〜90代の男女3人を4〜6階のベランダから投げ落としたとして、今年2月に殺人容疑で逮捕され、同4月までに3件の殺人罪で起訴された元職員・今井隼人被告(24)の自宅は引き払われていた。関係者によると、今井被告の母親は名前を変えて暮らしているという。

 逮捕前の'15年9月、『週刊女性』は今井被告と接触している。自宅マンションのインターホン越しに取材を申し込むと、「今日はダメです。明日もダメです」と抑揚のない口調で拒否された。すでに複数のメディアがマークしており、反論があれば話を聞きたかった。

 数日後、取材のお願いを便せん5枚にまとめた。その中でこうも書いた。

《もし犯人じゃなければ、もっと積極的にアピールすべきではないか》

 記者の名刺・顔写真を添付して郵送したが、返事はなく、やがて逮捕された。

 逮捕当初、「介護に手がかかり煩わしくなった」などと犯行を認めていたとされる今井被告は、途中から黙秘に転じたという。なぜなのか。

 神奈川県下の拘置所に面会を申請し、待合室を2つ経由してボディチェックも受け、透明のアクリル板越しに会話ができる面会室へ。

 しばらくして、向かいの小さな覗き窓が一瞬開いたかと思うと、すぐに閉じて、

「相手(今井被告)は“会いたくない”と言っています」

 と係官。面会は叶わなかった。

 被害者はどれほど怖かっただろう。穏やかな老後を見守った被害者遺族はどれだけ憤りを覚えているか。そして今井被告の母親と妹もまた人生を狂わされたに違いない。