「求められることだと思います。僕たち役者は、どこかで常に選ばれる側で、自分たちで選んでいけるほど甘い世界ではないんです。プレッシャーはもちろんあります。でも、それは常に自分に与えているもので、人から与えられるものではないかもしれません」
綾野剛から出た意外な言葉
今回の熊切和嘉監督とは『夏の終り』以来のタッグ。同作品をプロデュースし『そこのみにて光輝く』でも綾野を主演に据えた星野秀樹氏など、強い信頼で結ばれた座組みとなった。“この役作りができるのは綾野剛しかいない”という期待もあり、それに応えるため常に自分に課題を与え続けた綾野。
ストイックなのは、プライベートでも?
「ストイックであるかどうかというのは、自分ではない誰かが決めるもの。ストイックって僕のことを思っていただいている方がいるならば、その方の中に答えがあると思うんです。要は不安なんです。自分のことをもっと過信していたら気持ちがラクなんですけど」
“不安”という、意外な言葉に驚いていると、
「僕にも不安って気持ちはあります。不安だから精神安定剤として努力するしかない。努力することで、ちょっとずつ役に近づいているんじゃないか、求められていることに近づいていってるんじゃないかって思えるんです。結局は臆病なんです。だからやるんです。期待だけはいただいて、それには明確に応えていきたい。これからも、求められる人間であり続けたいと思います」
ライバルはあの“研さん”!?
「今やっているドラマでの役名が深志研、今回の映画では矢田部研吾。同じ漢字だし“研さん”つながりなんです。天使のように優しいドラマの研さんが勝つか、地獄のような形相をした映画の研さんが勝つか。みなさんの目で確かめていただければ幸いです」
<公開情報>
『武曲 MUKOKU』6月3日(土)全国ロードショー
矢田部研吾(綾野剛)は幼いころから父親の厳しい指導を受け、剣の道では一目置かれる存在となっていた。だが、とある一件から進むべき道を見失ってしまう。そんな中、彼のもとへ、ひとりの少年・融(村上虹郎)が送り込まれ――。豪雨の中、泥まみれになりながら繰り広げられる決闘シーンは必見。