「一見、クールに思われがちなんですが、そのつもりはなくて。挨拶もするし、むしろ話しかけてくれたら、めちゃくちゃウェルカムです(笑)」
色気があって、チャーミングで、男前。出演中のドラマ『恋がヘタでも生きてます』、そしてボイメンの田中俊介とW主演を果たしたダークBL作品『ダブルミンツ』の影響もあり、今“セクシー俳優”と注目を集める淵上泰史(33)。
「そう言っていただけてうれしいです。ずっと“淵上くんは色気ないよね~”って言われ続けていたので。1度それを親父に言ったんです。そしたら“そんなこと、相手の感性の問題だから気にするな”と。ちなみに、最初に色気があるって言ってくれたのは西川美和監督(『永い言い訳』)だったんですよ。これまでしてきたことを“苦労”と簡単にまとめたくはないですけど、そういったことが外見にも少しずつ出てきたのかなって」
15歳で親元を離れガンバ大阪のユースに所属、プロのサッカー選手を夢見るも叶わず、その後、役者を目指した。だが思うようにことは進まず、27歳でデビューするまで7年。その後、ドラマ『昼顔』などの人気作やCMへの出演を重ね徐々に知名度を上げていった。
「役者を目指している間、仕事もしていないし、やっぱり周りからはいろいろと言われるわけです。そういう人たちを見返したくて。デビューしてからも、どうやったら主演がはれるのかとか、いい芝居ができる役者になれるのかとか毎日考えていました。売れないと説得力がないですし、僕はまだまだだと思っていますので、これからが勝負かと」
そして昨年のとある“経験”が、さらに彼を強くする。
「実は今回の映画の撮影中に母親が亡くなって、そのときばかりは本当につらくて心が折れそうでした。親の死に目にも会えず、3時間だけ亡骸(なきがら)に会いに地元の和歌山に帰って、夜行バスで戻って仕事をして。もしかしたらそのときは人生でいちばんつらい中、演じていた役者かもしれません」
そこを乗り切ったら、“もう怖いものはない”と悲しみの中で思ったとか。そして心境にはこんな変化も。
「“男の子は母親が死ぬと一人前の男になる”って言葉がありますが、僕自身、役者としても男としても、ひと皮むけたような気がします。それが今言っていただいているセクシーとか色気につながっているのでしょうか。ぽっかりあいた穴は埋められないですが、成長もしていかなくてはいけないので。これからも謙虚に頑張りますので、淵上泰史をよろしくお願いします」
<出演作品>
映画『ダブルミンツ』(公開中)
ある日突然、平穏に暮らしていたサラリーマン・壱河光夫(淵上泰史)のもとにかかってきた一本の電話。それはかつて主従関係を誓った同じ名前の元同級生・光央(田中俊介)からのものだった。「女を殺した」と衝撃の告白をする光央に逆らえないまま、光夫は共犯者になっていき―。