新型コロナウイルスの影響で残業代やボーナスがカット。経済的な不安に対し、投資を始める人が増えている。
『LINE証券』利用者の6割は投資未経験
なかでも話題となっている『LINE証券』は昨年8月に野村證券を傘下に持つ野村ホールディングスとLINEがタッグを組んでサービスを開始。コロナ禍に突入した今年2月~4月には、新規口座数が約2倍(昨年11月~今年1月と比較)、売買代金を約3・6倍(今年1月9日~2月21日と2月25日~4月7日を比較)に上げて急成長を遂げ、今年8月末時点で口座開設数は31万口座を突破、月間の国内株式売買代金980億円と拡大を見せている。
注目すべきは利用者の約6割が投資未経験ということ。
「生活に根づいたコミュニケーションツール『LINE』だからこそ、投資初心者にも身近な証券サービスとして展開できたと思います」
そう話すのは『LINE証券』の広報担当者。
知識不足や資金不足、取引時間を確保できないといった不安を解消する簡単・便利でわかりやすいサービスを開発した結果、20〜30代が53%、40代以上が47%と幅広い層に支持された。
利用者からは、「LINEのメッセージと株価を同時に見られてラク!」、「投資の利益がLINEPayで使えて便利」などの声もあり、アプリの機能と連携して投資を楽しめるのも強みになっている。
「まるでLINEのスタンプを買うような感覚で、株が買えるところが斬新です」
投資のプロである星野紗季さんも“LINE証券の革新性”に舌を巻く。
「チャートが読めなくても株価の上下を感覚的に理解できるレイアウトや、少ない資金で1株から売買できる『いちかぶ』サービスは、投資初心者のハードルを低くしていると思います。株をタイムセールする発想にも驚きました」
また、東証の休憩時間や取引終了後も取引ができたり、市場の値動きを確認しながら平日午後9時まで取引できるのもポイントだ。大きなニュースで株が大きく変動してもリスクに対応しやすく、スキマ時間に投資ができる。
「始めるなら、早いに越したことはありません。銀行に預けても増えないお金は、投資にまわして働いてもらいましょう。そのためには、まず投資を体験して知識と経験を積み上げることが必要です」
現在『LINE証券』では、新規口座開設で最高3株分の購入代金がもらえる「初株チャンス」キャンペーンを実施中で(変更の可能性もあり)、来年1月には、株のタイムセールも予定されている。
【LINE証券の特徴】
◎口座開設が簡単……スマートフォンで登録し、最短で翌営業日に取引ができる。
◎株売買の操作が手軽……スマートフォンのみのサービスなのでパソコン不要。
◎手数料がゼロ……現物取引の買い付け手数料、信用取引の売買手数料、投資信託の購入手数料なし。
◎1株から購入できる……株取引は100株から購入するのが基本だが、1株(単元未満株)から売買OK。
◎お得なキャンペーンあり……口座開設で株の購入代金プレゼントや株のタイムセールなどを実施。
投資初心者は『いちかぶ』からスタート!
少ない資金で投資できて、有名企業の株も買いやすい値段に。『いちかぶ』の仕組みを解説します。
株式投資には、(1)各証券取引所に上場している株を売買する「現物取引」、(2)自己資金の3倍の額まで取引できるハイリスク・ハイリターンの「信用取引」、(3)プロに運用を任せて株や債券などに分散投資できるが元本割れのリスクもある「投資信託」の3種類がある。
シンプルに株を売買する「現物取引」から始めたいところだが、株の最低購入単位は原則100株からで、『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングなら約830万円もの資金が必要になる。そんなときに活用したいのが1株単位で株を購入できる「いちかぶ」。ファーストリテイリングの株なら約8万3千円で投資ができる。
「100株単位の購入は元手が多くかかりますし、損得が数万〜数十万円単位で出ます。初めての投資で数万円損したら、モチベーションが下がりますよね。でも、『いちかぶ』なら、少ない資金で始められて、損も得も小さいので初心者が経験を積むのにおすすめです。大きなリスクを抱えずに、株売買に慣れていくことができます」(星野さん、以下同)
現在、「いちかぶ」で扱う銘柄は1015で、上場銘柄のおよそ3分の1をカバー。
「東証一部上場企業など、大手銘柄も網羅。比較的安定した値動きの企業の株が買えるのも初心者にとっては安心材料です」
【『いちかぶ』のポイント】
◎練習感覚で投資できる……数百円から始められて、失敗しても損が少ない。本格的な投資の前に経験を積める。
◎分散投資がしやすい……1銘柄だけに資金を集中させるのはリスキー。少額投資なら複数の銘柄に分散しやすい。
◎高額な銘柄が買いやすい……100株だと数百万円になる有名銘柄でも、100分の1の数万円で買うことができる。
口座開設の流れ
1. LINEアプリの“ウォレット”から証券を選択
2. 画面の案内に従って、名前や生年月日など本人情報を入力
3. 携帯電話番号を入力後に、SMSで送信される認証番号を入力
4. 写真入りの「マイナンバーカード」、もしくは「マイナンバー通知カード」+「運転免許証」を用意する
5. 「マイナンバーカード」、あるいは「運転免許証」を撮影する
6. 「かんたん本人確認」で自分の顔をスマホで撮影する
7. 最短で翌営業日から取引可能
少ない銘柄に分散して毎日チェック!
株を買うときは、『LINE証券』の各銘柄のページにあるチャート(株価の推移グラフ)、業績予想、アナリストの評価をチェックするのが基本だ。アナリストの評価は、買い、ホールド(そのまま保有)、売りの3段階。同じ画面で、業績や配当・優待情報までわかりやすく表示されている。
「どうやって選べばいいかわからない場合は、サイト内の“3000円以下で買える株”や“割安ランキング”から、なじみのある会社や気になる企業を見つけ、チャートなどを確認して買うというのもアリだと思います」
最初に買うのは目が行き届く2~3種類まで。複数買う場合は同業種は避けるほうがリスクヘッジになる。行きつけのファミレスで「最近、お客さんが増えたから来期は業績がいいかも?」など、生活のなかで感じたことを投資に反映してみるのもいい。写真ページには『いちかぶ』なら手が届くであろう「期待の10銘柄」一覧表を掲載したので、こちらもぜひチェックしてみてほしい。
「保有している株は、毎日1回でもいいので価格を確認しておくと、値幅がわかり、売買のタイミングがつかめるようになるはずです。配当金狙いか、売買の差額で利益を出したいのか、自分に合う投資スタイルを見つけていきましょう。株の値動きによる損得がストレスになりすぎていないかを確認しながら、徐々に株を買い増していくのがおすすめです」
【「いちかぶ」の中には株主優待銘柄も!】
株主優待を受けるには100株(単元株)以上の保有が基本だが、なかには1株の保有でOKな銘柄もある。例えば、「SBIホールディングス(証券コード8473)2619円)」、「デンカ(証券コード4061)3180円」、「ダイドーグループホールディングス(証券コード2590)5810円」などは、少額投資で、各グループ企業の商品をお得な優待価格で買うことができる。
(取材・文/河端直子)
〈PROFILE〉
星野紗季さん ◎OLを経て、株式評論家の坂本慎太郎氏が代表を務める株式スクール『こころトレード研究所』のトレーディングストラテジスト(投資戦略の立案専門家)に。株初心者時代の不安や経験を生かし、セミナーや執筆活動を通して投資の知識や手法をわかりやすく伝えている。