円安の流れが止まらず、いつの間にやら140円台に。その影響であらゆるものが値上げの連続。節約するのももう限界……。家計を守るために、ほかにできることは?
銀行を変えれば貯金額が増える!
「いつも使っている銀行を変えてみては? 銀行といえば、どこも同じ手数料、同じ金利で大差ないイメージがあるかもしれません。でも今は、手数料は銀行によって異なりますし、都銀や地銀では支店を減らす動きもあり、不便さを感じ始めている人もいるのでは。まだまだ続く長い人生、どこの銀行を使い続けるかで大きな差が出ますよ」
そう話すのは、銀行事情に詳しいファイナンシャルプランナーの坂本綾子さん。坂本さん自身、高齢の母親の状況を見て、銀行を見直さないことのリスクを実感しているそう。
「九州の実家を訪ねたら、家の中に現金が何十万円も置いてあるんです。『こんな大金を置いていたら危ないじゃない』と言うと、『近くにあった地銀の支店がなくなって、お金を下ろすためのタクシー代が往復で1000円もかかるようになったの。だから一度にできるだけたくさん引き出している』って。こまめにお金を出し入れできない銀行なんて利用する意味がないのに……」(坂本さん、以下同)
昔からなじみがあるからといって、何十年も同じ銀行を使ってるなんてことはない?便利でメリットの多い銀行は今どきたくさんあるのだ。
お得なネット銀行を選ぶポイントは?
「銀行選びのポイントは、引き出しなどの手数料の安さ、預金やローンの金利、そして使いやすさにも注目してください。いくら手数料や金利がよくても、私の母のようにお金を下ろしに行くのに交通費がかかるようではムダでしかありませんから(笑)」
そこで注目したいのがネット銀行。
「ネット銀行とは、2000年以降に登場した新しいタイプの銀行のこと。基本的に店舗を持たずに、インターネットで取引します。店舗にかかる家賃やスタッフの人件費が抑えられる分、手数料が安く、預金金利が高めです」
どうやってネットで取引するの? 現金はどうやって引き出すの? 疑問に思う人も多いだろう。
「ネットといっても難しく考えなくていいですよ。振り込み操作などがスマホなどでいつでもどこでもできるというもの。現金が必要な場合は、近くのゆうちょ銀行やコンビニなどの提携ATMから引き出せます」
ネット銀行には、楽天銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行などがある。どうやって選べばいいのだろう。
「自分がよく使うサービスに属している銀行を選ぶと、ポイント還元などでより得できます。例えば楽天銀行。楽天市場や楽天モバイルを使っていると、もらえるポイントが増えたり、金利が2倍になったりしてすごくお得です」
一方で、注意点も。
「ネット銀行の中には、一部のクレジットカードの引き落としや公共料金の支払いに対応していないところもあります。また、夫や自分の勤め先の給与振り込みがネット銀行に対応していない場合も。無理なく乗り換えられるかを事前に確認しておきましょう」
FP坂本さんが選ぶ初心者におすすめのネット銀行
楽天銀行
「ハッピープログラム」に登録すると、振り込みなどの取引でポイントが貯まる。楽天証券の口座と連携させると取引内容に応じて手数料無料回数やポイント獲得率がアップ。ショッピングやスマホまで楽天系でそろえ、ポイ活との相乗効果を狙う人も多い。
PayPay銀行
前身が三井住友系のジャパンネット銀行で、経営がしっかりしている。スマホ決済のPayPayとの入出金が何度でも無料。ATM引き出し手数料は、月1回目は無料、以降は3万円以上の出金なら無料。
イオン銀行
イオンATM手数料が24時間365日無料。提携ATM手数料や振込手数料も、取引内容に応じて最大月5回無料に。イオンのお店に窓口があるので、ネット銀行初心者も安心。イデコや住宅ローンなどへの対応も手厚い。
※最新情報は各HPでご確認ください。
万一流出してもお金は戻ってくる
ネット銀行にしたら具体的にどんなお得があるのか。特に注目したいのが手数料だ。
口座残高など取引内容によって「月○回まで」の回数制限はあるが、提携ATMからの出金手数料が24時間365日無料になる。振込手数料も回数制限付きで無料または格安だ。
「仕事が忙しくてATMに行く時間が深夜になる人、仕送りや家賃の振り込みが毎月ある人などは特にお得になりますね。振り込みはスマホ操作でできますから、振り込みのためにわざわざATMに行く手間や交通費も省けます」
イデコを利用している人も要注目。
「毎月かかる口座管理手数料が、大手銀行に比べてグンと安くなります」
実際に週刊女性編集者の50代Iさんが500万円の預金を大手銀行からネット銀行に移したところ、差額を積み重ねていくと、10年で20万円を超える計算に!
一方でネット=情報流出のイメージがあるせいか、口座のお金が流出しないか心配な人もいるだろう。
「他人に口座のお金を動かされないよう、ネット銀行側も、パスワードを二重にするなどしてガードを固めています。危険というなら、私の母のように大金を家に置いておくほうがよほど危ない(笑)。ただ、偽メールなどを使う手口で、ネット銀行が使われることも事実。そうした被害にあった場合、こちらに重大な過失がなければ、流出したお金は銀行が補償してくれるので安心です」
いま、各銀行で支店を減らし、現金を扱う際のさまざまな手数料を取るようになるなど、キャッシュレス化は避けられない流れだ。そのキャッシュレス化を先取りして、お得度をアップしているのがネット銀行。この機会に銀行を見直してみてはどうだろう。
ネット銀行に変えるだけでここまで変わった!
ネット銀行のメリットはなんといっても手数料の安さと金利の高さ。大手銀行好きだった堅実派の50代Iさんが楽天銀行とあおぞら銀行に乗り換えて実感したネット銀行の強さをご紹介!
ファイナンシャルプランナー。消費者の生活を第一にアドバイスしている。著書に『まだ間に合う!50歳からのお金の基本』など。
<取材・文/鷺島鈴香>