《店員さんがマスクしていないことにケチをつけ、個人の判断だと諭されると開き直る態度が悪い、辞めさせろと大声で絡む高齢者》
新型コロナウイルスが「5類感染症」に移行された5月8日以降、気温も30度を超える日もあったためか、屋内外に限らずマスクを外す人々が急激に増えている。
多くの人が行き交う日中の東京・銀座でも、マスクなしが大多数の外国人観光客の影響もあってか、目視でのマスク着用率は3〜4割ほどに留まる。すっかり“ノーマスク”派と逆転した様相だ。
そんなマスク離れが進む中でSNS投稿されたのが冒頭のツイート。関東圏のファミリーレストランで目撃した出来事のようで、撮影した画像も添えられていたのだが、写っていたのはーー。
店内のレジカウンター前で手を前に組んで頭を下げる女性店員と、その彼女を指差して激昂する白髪頭の高齢者男性。どうやらマスクを着用していない店員への文句をつけていたようだ。
ところが、同店でのマスク着用は“個人の判断”であることを諭されると“逆ギレ”。なおも騒ぎ立てる男性だったが、店側が警察に連絡すると男性は逃げるように退店したことをツイート主は明かしている。
地下鉄に現れた“過激派マスク警察”
片や同じく5月中旬、別のSNSユーザーからは以下の投稿がなされた。
《過激派マスク警察が地下鉄の非常停止ボタン押してノーマスク美女が泣くまでオラつく。「うるせぇ」と叫ぶバカが1番うるさい模範的な老害として車内が騒然》
地下鉄駅構内で撮影された動画に収められたのは、「おかしいだろ、こっちはマスクしてんのに?あぁ!?」と声を荒げて傘を振りかざす男性と、なだめる駅職員の姿。向けられた矛先にはキャリーバッグを引いた、すっかり怯えた様子の観光客らしき女性2人組。
同ツイートには、その“被害者”を名乗るユーザーが《本人です LIVEで北海道に来たのですがすごく嫌な思いしました》とリプライを寄せ、本人のツイッターでも、電車内で絡んできた男性の動画と共に、当時の状況を説明している。
持っていた傘を突きつけては執拗にノーマスクを責め立てる男性。電車内では無視をしていたものの、降車後も絡まれ続けたことで女性側も言い返してしまい、男性はさらに憤慨したよう。《マスクする、しないは個人の自由なので押し付けないでほしいです、、》と女性は綴っている。
「マスクつけろ!ガキ!」
他にもネット上では、
《ノーマスクでバスに乗ってたらおばちゃん4人集団に怒鳴られたごめんなさい東京怖い》
《マスク外して公共交通機関乗ったら 「マスクつけろ!ガキ!」っておじさんに怒られた… 個人の自由なのでは…》
《スーパーで主人と買い物中にマスク警察に初遭遇 『こういう場所ではマスクしないとダメですよ』 70代くらいのお婆さんで突然主人と私に注意》
5類移行後にマスクを外していたところを注意された、“マスク警察”からの取り締まりを受けたという“被害”報告が全国各地で相次いでいる。
厚生労働省では5月8日、【新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について】として、《政府として一律に日常における基本的感染対策を求めることはない。》などの感染対策についての変更点もあげている。
また「マスクの着用」について、医療機関や高齢者施設などの訪問時、通勤ラッシュ時の電車やバス乗車時等の一定の場合をのぞいて、《個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本》として、屋内外でのマスク着用を“個人の判断”としている。
女性2人組は電車内でマスクを外していたようだが、動画を確認する限りは空席も目立った“ガラガラ”の状況だけに、男性から咎められる謂れはなさそうだ。
全国紙社会部記者は、“マスク警察”が今なお増えている背景について、
強く出られる相手は女子供限定
「そもそも当初より、マスク着用は義務ではなく“任意”。今回の“個人の判断”を含めて、個々によって私見が分かれるような、政府の国民任せにするような曖昧な言い回しも、マスク警察を生み出した一因と言えるのかもしれません」
ワクチン接種に関しても“努力義務”などとした、責任を取りたがらない政治家がもたらした“弊害”でもあると指摘する。
一方で、一連の“マスク警察”騒動を知った上で、複数のユーザーからはこんな声も。
《俺政府が解禁した直後から一度もマスクしてないけど一度も注意されたことないわ。 ガタイがいいからかね》
《中肉中背の日本人男にすら、ご自慢の正義観は振り翳せないのが高齢マスク脳男なんだわ。 強く出られる相手は女子供限定》
「ターゲットにされやすいのは屈強な男性ではなく、女性や店員といった“自分よりも弱い立場”というのは耳にします。中にはノーマスクに託けて、日頃の鬱憤やイライラを他者にぶつけたいだけの輩もいるかもしれませんね。
いずれにしても、ノーマスクを注意するだけでは罪になりませんが、行き過ぎた行為は強要罪や脅迫罪、またお店に対しては威力業務妨害を問われる可能性があることを知らないわけではないと思うんですが(苦笑)」(前出・社会部記者)
歪んだ“正義”にならぬよう。