駒澤と東洋の一騎打ちと言われていた今年の箱根駅伝─。大方の予想を覆して初優勝を遂げたのは、ノーマークの青山学院だった。青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、選手たちと寮で共同生活を送り、奥さんの美穂さんが寮母を務める。監督夫婦と選手たちは、大家族のようなものだ。
その中で監督のことを唯一、「ガキ大将みたいな人」と笑い飛ばせてしまうのが美穂さん。“陰の立役者”として選手を支えてきた。
「俺はつい自分のことをしゃべりたくなるから(笑い)」という夫が気づかない、選手の小さな変化をすくい上げる。
「部員が相談を持ちかけてきても、彼らは話を聞いてほしいだけなんです。だから、“私だったらこうするけど、それは私の意見だから、最後は自分の意思で決めればいいと思うよ”という言い方をします。その場で解決しようとせず、しばらくたってから、“あの件どうなった?”と気遣ってあげています」
夫婦の息の合った指導で、選手たちは“チャラくて最強”のチームを作り上げたのだ。