s-kuro0118

 1971年の名作映画をドラマにリメークしたサスペンス作品、ドラマスペシャル『黒の斜面』(テレビ朝日系・1月24日夜9時~)。岩下志麻、市原悦子、加藤剛の役を檀れい、内山理名、原田泰造がそれぞれ演じている。

「名作のアレンジですが、冒頭に起きる事件以外はほぼ変わっています。原作映画をご覧になった方も、新鮮に感じていただけると思います」(関拓也ゼネラルプロデューサー)

 冒頭の事件とは─建設会社に勤める辻井高史(原田)は出張のために家を出た。妻の圭子(檀)は、飛行機墜落のニュースを見てガク然とする。それは夫が乗る予定の飛行機だったから。しかし、実際の高史は搭乗せず、不倫関係にある川上妙子(内山)と一夜をともにしていた。

「秀逸な始まりだと思います。本作はさらに1億円の横領容疑や高史の会社の経理部員(遠藤久美子)の殺人事件も絡んできますので、ミステリーの要素も存分にお楽しみいただけます」(関GP)

 周囲から“理想の夫婦”とうらやまれ、念願の新居を購入したばかりの辻井夫妻。飛行機とともに消えた高史だが、圭子はひたむきに夫の生存を信じ、その可能性を探っていく。そして彼の知られざる内面を知ることに。圭子について、檀はこうコメントしている。

「信じているからこそ、夫に対する疑念を払拭したいと思いますし、信じているからこそどんな状況でも、前に進もうとする力が湧いてくるんですね。演じながら、夫婦の絆のあり方を、改めて感じることが多かったです」

 物語は二転、三転して意外な方向に進んでいくが、注目すべきは、結末。今を生きる登場人物を描いていくうちに、オチまで原作とは変わっているという。

「非常にまれなことですが、かなり悩んで、クランクイン直前にようやく決まりました。いろいろなケースを想定し、台本も何度か刷り直したほどです。檀さんからもアイデアをいただきました。決定した結末は、檀さんのアイデアを反映させたものになっています」(関GP)

 圭子、高史、妙子。3人が迎えるラストとは? 同局ドラマ初主演で気合の入った檀れいのアイデアが生かされた結末、絶対お見逃しなく。

 約1か月、時間をかけて丁寧に撮ったという今作。ミステリー好きにはたまらない物語だが、裏話も満載。

「大変だったのは空港のシーンです。実際の空港をお借りしたのですが、撮影できるのは深夜。夜更けに大人数のエキストラの方も含めて撮りました」(秋山貴人アシスタントプロデューサー)

 キャストは楽しみながら自分の役を演じたよう。

「檀さん、原田さん、内山さんのお三方とも、それぞれに肉づけしてくださいました。台本以上にキャラクターが動き出している感があります」(関GP)

 男性の多い制作スタッフは、原田の演じる高史の一挙手一投足に共感することしきりだったという。

「原田さんのセリフの言い回しが絶妙で、ひざを打つばかり。あまりにリアリティーがあるので“高史頑張れ!”と応援していました(笑い)」(関GP)

 高史が立ち寄る妙子の店が帰宅途中の小さな駅にあること、無理して購入した豪華な新居で気取ってシャンパンを傾けるより妙子の店で卵焼きやソーセージをおいしそうに頰張ることなどは、男性の“あるある”だそう。

「なんてことない料理にホッとするし、美しい妻がいるのに気さくな女の子を可愛い、と思ってしまう。贅沢だけど、男ってそういうものなんです。ご主人のガス抜きが必要かと思ったら、卵焼きとソーセージを出してあげてください(笑い)」(関GP)