日本を代表する漫画家、故・赤塚不二夫さんのギャグ漫画を初めて実写化した『天才バカボン』(日本テレビ系3月11日金曜夜9時~)。
くりぃむしちゅーの上田晋也がバカボンのパパ、松下奈緒がバカボンのママ、おかずクラブのオカリナがバカボンを演じる。
少年のバカボン役に抜擢されたオカリナは、「私、31歳の女なんですけど……」と戸惑いをみせつつ、ファミリーの雰囲気を楽しんだよう。同い年の松下と親子を演じることには、こう話す。
「松下さんは同い年と思えないほどママで、すごく優しかったです」
天才児のハジメちゃん役には、オーディションで1000人の中から選ばれた早坂ひらら。4歳なのに、難しい長セリフも完璧。レレレのおじさんに小日向文世、おまわりさんに高嶋政伸が扮し、マツコ・デラックス、藤木直人、船越英一郎、羽田美智子らが出演。
物語の舞台は2016年の東京。4話のオムニバス形式で、各話が絡み合っていて、2時間ドラマのように楽しめる。
見どころのひとつは“美人のママが、なぜこんなに変わったパパと結婚したのか?”というバカボンの素朴な疑問が、解明される。パパとママの初デートシーンなども登場し、原作漫画でもあまり描かれていないエピソードに注目なのだ。
実写化が難しいといわれていた『天才バカボン』だが、上田と栗原甚プロデューサーの雑談がきっかけで、2年ほど前に企画が持ち上がった。
当初は、初主演の上田の演技力や、ブレイク前で無名のオカリナの起用には、上層部から不安の声もあったが、バラエティー出身の栗原プロデューサーは、絶大の自信を持っていた。
「キャラを似せただけのパロディードラマにするつもりはありませんでした。もちろん笑いはありますが、最後はホロッとする展開に。(ギャグ漫画原作の)『バカボン』を見て不覚にも泣いていただければ(笑い)」
監督も兼任して制作にあたった栗原プロデューサーが最も苦労したのは、上田のスケジュール確保だったという。
「レギュラー番組を10数本持っている上田さんですから、約1か月半で撮影するため、バラエティーの2本撮りを3本撮りにしてもらったりして、やっと調整してもらいました」
撮影は11月から12月にかけて行われたが、上田はこの時期に収録する年末年始の特番のオファーを断って臨んだ。
「超一流のバラエティー司会者であり、芸人さんなのでカンがすごくいいし、芝居もよかったです。間と空気感をとらえるのが非常に上手な方です。早い段階から台本が完全に頭に入っていて、全体の芝居のことも含めて意見交換をしました。
役者さんでも、あそこまで読み込んでいる方はなかなかいないと思うほどでした。本人は“演技は2点”と言っていましたが、見たらきっと驚くでしょう。“監督は妥協してOKしているんだろう”なんて笑いをとっていましたが、僕は納得いかなければ絶対にOKは出しません」
現場ではほとんど台本を見なかったという上田。続編、映画化、連ドラ化も視野に入れているかと思うほどの熱演ぶりだったとか。
上田はバカボンのパパを演じることを相方にも言わず、ほかのキャストも同様で、撮影は他言無用、秘密裏に行われた。
「みなさんに驚いてほしかったというのが、いちばんの理由です。キャストやあらすじは発表しますが、放送を見てのお楽しみもたくさん用意していますので、ぜひご期待ください」