安田成美の16年ぶり連ドラ主演で話題のドラマ『朝が来る』(フジテレビ系 土曜夜11時40分~)。

 特別養子縁組や夫の不妊症など現代的なテーマを描いている。原作は直木賞作家・辻村深月の同名小説。

 不妊治療の末、原因が夫の清和(田中直樹)にあるとわかり、子どもをあきらめた栗原佐都子(安田)。特別養子縁組で朝斗(林田悠作)をわが子として迎え、幸せな生活を送っていた。

 そんなある日、金髪の女(川島海荷)が現れ“私が産んだ子どもを返してください”と、平穏な日常に影を落とす。

 主演の安田は、芸人として大先輩の木梨憲武の妻で、しかも初共演に緊張したという田中。

「緊張感は持ちつつも、(安田は)本当に明るくて自然な方です。雰囲気がとても柔らかく、現場に安田さんが入られるとパッと明るくなるイメージがあります」

 現場では、座長・安田の差し入れが大好評に。

「タイミングが抜群です。甘いものが欲しいときに甘いものが、冷たいものが欲しいときは冷たいものが出るような絶妙なバランス。全員で、次はいつ安田さんが差し入れをしてくれるのか、ソワソワしながら撮影に臨んでいます(笑)」

 2人の母をめぐる物語が軸になっているが、夫の心情については、

「養子に迎えた朝斗が可愛くて仕方がなくて、佐都子のこともとても愛していて、幸せな家庭なんです。100パーセント幸せだと思っている清和ですが、やっぱり自分が原因で夫婦の間で子どもを持てなかったという思いがぬぐい去れないまま日々を過ごしています」

 田中自身の母との思い出をこう話す。

「とにかく料理をたくさん作ってくれる人なんですが、なんでもかんでもミックスベジタブルを放ってくるんです!(笑) いろんな料理にミックスベジタブルを入れる。

 冷凍庫に入れていた自分の業務用アイスが、ミックスベジタブルに押しつぶされて、よく母とケンカしました。それくらい、ミックスベジタブルが家にありました。だから、今もミックスベジタブルをスーパーで見ると母親を思い出します」

■ナチュラルな安田の母性、現代に通じる田中の父性

 松本圭右プロデューサーは、テーマのひとつは“家族とは何か”という。

「主人公の佐都子はある意味、母性の象徴で、ひとりの悩める女性でもあります。そんな佐都子役が最初に浮かんだのは安田さんでした。そして安田さんの佐都子の横にいるのが田中さんの清和なら、栗原夫妻は完璧だ、と。

 佐都子が最終的に頼るのは清和というのが見える気がしたんです。ナチュラルな安田さんの母性と、田中さんの父性。背中で語る昭和の父親像とは違った、現代だからこそ共感できる父親像は本作の魅力です」

 田中は滑舌の悪さを気にしているが……。

「まったく気になりません。感情を込めて多少早口になっても、清和の心情として心に響いてくる。それぐらい清和そのものなんです」

 撮影の空き時間には安田と田中が、子役の林田を中心に触れ合っている姿は、本当の親子のようだという。

「温かい家族の雰囲気は、画面からも伝わってくるはずです。悠作君はとてもリラックスしているけれど、撮影中はプロの顔です。帰るときも“お疲れさまでした。今日も1日ありがとうございました!”と大人顔負けの挨拶をします(笑)」

 ドラマでは原作にはないオリジナルの人物も登場し、さまざまな女性の生きざまが描かれている。

「悩みを抱えたそれぞれの登場人物に“朝は来る”のか、ドラマをご覧の方にも“朝が来る”内容になっていますので、最後までご覧ください」