どれだけ勉強しているか、どれだけ寝ているかに関係なく「LINEを使うと直接的に成績を下げる」ということが分かったのです。
さらにLINEは「使用時間が1時間未満であっても成績を下げる」ことも調査で判明しました。
スマホで脳がフリーズする
私たちはスマホ、LINE等が学習効果を消してしまう原因を解明するために、いくつかの実験を行いました。
そのひとつが、脳の血流を計測する装置をつけ、脳血流の変化を調べるという実験です。
被験者には装置をつけたうえで「辞書を使って言葉の意味を調べる」ことと「スマホでウィキペディアを使い、言葉の意味を調べる」という作業をやってもらいました。
すると、辞書を使う場合には、思考するときに活発になる大脳の「前頭前野」の血流が増えることがわかりました。一方、スマホを使った場合には、逆に前頭前野の血流は減少し、抑制がかかって働かない状態になったのです。
つまり、私たちがスマホを使っているとき、その間、脳は血も通わず働かず「ゆるみきっている」ということです。
ゆるんでいるということは、リラックスしているということだからいいのでは? と不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、発達期にある子どもの脳にとっては、これは悪影響でしかありません。
脳をしっかり使って鍛えることが重要な時期にあるため、脳が休息状態になる時間が長くなると、当然、脳の発達、働きは低下してしまいます。
LINEで情報処理速度、注意力が落ちる
私たちの実験によって、脳科学的な要因のほかに、LINEによる成績への悪影響に関しては、心理学的な原因があることもわかりました。
大学生に、背後に自分のスマホを置いて、継続的な作業を行ってもらったところ、LINEの通知音が鳴るたびに、情報処理や動作速度が遅くなり、注意力が低下したのです。
この結果から「誰かからメッセージが来た」という認識が、学習効果を削ぐことにつながっているということが明らかになりました。
ちなみに、通常の時間を知らせるアラームが鳴ったときには、影響はありませんでした。