時代に合わせて進化する託児所
「教育のプログラムがあったり、給食にこだわりがあるなど、それぞれに特色を持つ施設も多いです。うちでは、日本ライフカウンセリング協会認定の専門カウンセラーによる、子育てなどのカウンセリングができるようにしています。
また、ママさんたちが勤めている近隣の企業と提携し、一部料金を会社負担にするなど、認可外だから可能な取り組みを行っています」
吉延さんによれば、「近年、認可外保育所は待機児童問題の受け皿としても欠かせなくなってきている」という。現在、都内の待機児童数は8586人にのぼり(2017年4月時点)、「保育園落ちた 日本死ね」が流行語に選ばれたことは記憶に新しいだろう。
「うちはアクセスがいいため、朝は途中下車してお子さんを預けてから職場に向かうという方も珍しくありません。通えるエリアが限られる認可保育所と違って、他区の方も利用できる認可外保育所は、夜間だけでなく日中もセーフティーネットになっているんです」
時代の多様性に合わせて、進化しているのだ。
かつて夜間のキッズパラダイスに子どもを預けていたシングルマザーの女性は言う。
「不規則な生活で、かつ遠方に住む実家の親には頼れない。母親だけだと他の人より認可の保育所にもいくぶん預けやすいし、実家に帰って親にみてもらい地元で働く……という選択肢もあった。
でもそうしたら、収入の激減を受け入れなくてはならなかったし、仕事をあきらめなくてはならなかった。こちらに預けることができて、自分の人生を生きるのにも、どれだけ助けられたか。おかげで子どもはいま大学生です。
限られた時間だけ保育園で過ごして、その後、精神的にいっぱいいっぱいの親といるよりも、保育のプロと、同じ年ごろの子どもたちといるほうがずっといいと思います」
行政はまったく追いついていないが、働き方も、ひいては生き方もますます多様になっていく。認可外保育所が果たしている役割を軽視してはいけない。