断れなかった頼みごと
地域に育まれて暮らしていたよし子さんのもとに、いつの間にか出入りするようになった若い男女。人の気配を不思議に思った食料品店の店主が「誰なのか?」と確認すると、
「知り合いの子がね、とぶっきらぼうに話していました」
よし子さんは中学卒業後に製糸工場で働き、発泡スチロール製造会社、ビルの清掃や警備会社など転々としていたが、働き先のひとつに鉄くず回収業者があった。
「鉄くず回収業を営む男性がいて、よし子さんも手伝うことがあった。足が悪くなったよし子さんを車に乗せて買い物に連れて行くなど面倒をみていたようですが、若い男女のことを、“行く場所がないから数日、置いてやってくれ”と、よし子さんに頼んだそうです。よし子さんも助けてもらっているため、断れなかったようです」(全国紙記者)
放火の翌18日、静岡県富士市の『道の駅』で、その男女4人は身柄を確保された。
19日に現住建造物等放火と殺人の疑いで逮捕されたのはいずれも職業不詳で住所不定・菅野弥久容疑者(20)、自称・東京都墨田区在住の仲内隼矢容疑者(20)、自称・千葉県印西市在住の金崎大雅容疑者(20)、自称・東京都在住の少女(16)の4人。
菅野容疑者が、鉄くず回収業者の知り合いだったという。
「菅野容疑者は男性の車のスペアキーを持ち、車を使用していた。逃走に使ったのもその車です」(同・全国紙記者)
週刊女性の直撃取材に、回収業者のその男性は、「話すことはないよ」と口を閉ざす。
「よし子さんにお金を取られた」と容疑者が供述しているという一部報道も出たが、真相は今もやぶの中。容疑者らは20日、送検された。
人に頼まれ、居場所を提供したばかりにトラブルに巻き込まれてしまったよし子さん。
「玄関のそばで亡くなっていたのは、はって逃げようとしたんでしょうね。明るくて人懐っこい、いい子だったのに。ひどいことをする。かわいそうに」(60代の近隣女性)
地域が見守り続けた人生は無謀な若い男女4人の手で無残にも葬り去られた。