ゴールデンウイーク直前の芸能界を襲ったTOKIO、山口達也メンバーの強制わいせつ事件。おびただしい報道がなされましたが、今回はジャニーズ事務所の誤算、読み違えについて書いてみたいと思います。
事件の第一報がNHKによって報じられたのは、4月25日夕刻。当初、テレビ局に対しジャニーズ事務所は「謹慎はしない」と態度を表明していました。ことの重大性をまったく理解していない証拠です。
これまでSMAP(当時)の稲垣吾郎が道交法違反と公務執行妨害で逮捕され不起訴になり、草なぎ剛が屋外で全裸になり公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されたことがありましたが、ともに特定の被害者がなかったこと、さらにはジャニーズ事務所のおわび行脚も功を奏して、稲垣は約5か月、草なぎは約1か月の謹慎で仕事復帰を果たしました。
ところが今回は、被害者がいて、しかも女子高生というジャニーズタレントのファン層のど真ん中。そこを所属事務所は見誤りました。
世間の反応に、「謹慎はしない」という態度を一転、無期限謹慎処分にせざるを得ませんでした。
現在、山口メンバーは謹慎生活に入っていますが、ジャニーズ事務所幹部から、こう聞きました。「飲酒が一度でも発覚すれば、TOKIO即追放も辞さない態度で向き合う」と。
46歳という年齢を考慮し、過保護にならない方針も取っています。お目付け役のスタッフが自宅に常駐したり、所有している酒を処分するといった強制措置は一切取りません。医療機関に入院させ、山口本人の自制心に委ねるというやり方です。
TOKIOのメンバーが番組で発言したり、コメントを発表したことで、山口メンバーは悪いが他のメンバーがかわいそう、という同情論を作り出すことに成功しました。
「迷惑をかけた仕事先へのおわび行脚は、事務所幹部とスタッフでフォローすることになる」。別のジャニーズ事務所幹部は、そう言っています。
TOKIOは来年9月21日に、デビュー25年を迎えます。「今年の夏あたりから、記念アルバムの制作に取り掛かる予定でした」とレコード会社関係者。「デビュー前から原宿のスタジオを借りてバンド練習を積んだ仲間という関係もあり、ジャニーズ事務所のどのグループよりも結束が強い。ぜひあのメンバーで25周年を迎えたい」と本音を付け加えます。
謹慎生活は、アルコールを絶つという禁欲生活を意味します。その先に、本人や所属事務所は「復帰」の二文字を思い描いていますが、そこへ至る道は、暴風雨の中の長く曲がりくねったがけっぷちを傘もなく歩くような茨。
はじめに復帰日時ありき、では、世間に見透かされるだけです。稲垣や草なぎのケースとは違うレベルの犯罪をしでかしてしまった所属タレントをうまく復帰させることができるのでしょうか。
ジャニーズ事務所としても初の試練です。
<取材・文/間垣ジェーン美瑠>