――書籍では、なんと言っても田原さんとジャニーズ共演NG説の徹底した取材、分析が見事でした。
「調べていて驚いたのが、トシちゃんがジャニーズを独立した'94年直後は少年隊とかSMAPとも共演しているんですよね。'95年の『ヤンヤン歌うスタジオ同窓会』(テレビ東京系)では、トシちゃんとマッチがワイプでしたが一緒に映っていました。
今じゃ考えられません。
ただ同年放送された『夜のヒットスタジオスペシャル』を最後にジャニーズタレントとの共演は終わり、それから23年以上ジャニーズとの共演はなくなっています。
例えばこんなおかしなこともありました。
当時トシちゃんがレギュラーを務めていた『笑っていいとも!』の95年放送『クリスマス特大号』では、トシちゃんがディナーショーの中継先からクイズを出していた。そこに同じくレギュラー出演していた(当時)SMAPの中居正広、香取慎吾、草なぎ剛の3人は前の仕事のため遅れていたんですが、その後3人がスタジオに到着すると、なぜかクイズコーナーが終了。結局、絡むことはありませんでした。偶然の一致かもしれませんですけど……。
ただ、トシちゃんの露出が少なくなっていったことに関して『自分の力がなかったから』と言っています。決して言い訳はしないんですよね。それはホントにすごいと思います」
中居正広が救うジャニ共演NGな風潮
――意外なのは、元SMAPの中居正広さんが最近までやたらと田原さんの名前をテレビで出していたこと。その指摘には驚きました。
「でも、これ普通にテレビ見ているとよく言っているんですよ。'90年代後半から'00年代にかけて、ほとんどのジャニーズタレントはトシちゃんの名前を言うことはなかったと思うんですが、中居さんは何かと名前出してくる。
'13年に放送された『SMAP×SMAP』には近藤真彦さんがゲストで出ているんですが、なんとあのマッチにも“マッチさんにとって、トシちゃんは先輩になるんですか?”と聞いているんです(笑)。神ですよね。
最近、中居さんが元SMAP3人の名前をテレビやラジオで言ったことが話題になっていますが、彼はそういうジャニーズや業界にはびこる共演NGの空気を変えようとしているのではないか。僕はそう思っています」
――それにしても、田原さんのジャニーズにおける功績の大きさには驚かされます。
「間違いなくジャニーズ事務所における先駆者ですよ。当時のアイドルは2~3年もヒットがでればすごい方。
それを変えたのはトシちゃんだと思います。マッチの人気も凄かったですが、トシちゃんは少し低迷した後、ドラマ『教師びんびん物語』、そしてシングル曲『抱きしめてTONIGHT』のヒットでまた盛り返した。結果、2度大ブレイクしているんですよ。そんな人はいない。
正直言って、今のトシちゃんはあまりテレビなどのメディアに出られていないと思う。ただ、ジャニーズタレントが出演する番組には多く“登場”しているんですよ。
今年3月6日の関ジャニ∞が出ている『ありえへん∞世界』(テレビ東京系)でも、トシちゃんの映像がかなり多く使われていましたからね。今、テレビ局が共演させようと動けば、できるんじゃないですかね。
なんといってもあれだけ歌って踊れる57歳はいません。本にも書きましたけど、ジャニー(喜多川)さんの理想は”歌って踊れる”で、それってトシちゃんのことなんですよ。
当時のアイドル雑誌『平凡』でも言っていますが、'60年代後半に初代ジャニーズとラスベガスのショーを見に行ったら、バックダンサーが30歳を超えているのを聞いてびっくりしたそうです。そのことに触れたジャニーさんは『僕の理想は40になっても50になっても歌って踊れる人だ』という趣旨を語っているんです。
これこそ、まさに田原俊彦のことだと僕は思っています。だから、ジャニーさんに今のトシちゃんのコンサートを観に来てもらいたいですね……って俺は何様なんだという話ですが(笑)」
岡野誠(おかの・まこと)◎1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。テレビ番組制作会社を経てライターに。『FLASH』『週刊ポスト』の契約記者から‘17年フリーに。研究分野はテレビ視聴率、プロ野球名鑑など。ほかにもサッカー解説の松木安太郎やタレントの生島ヒロシなど意外な研究対象も多い。カラオケで歌う曲はもちろん『抱きしめてTONIGHT』。