中居さんにとって石橋さんは、芸能界の父親的存在であるタモリさんとはまた違う形で、気づきや優しさを与え続けてくれた、芸能界の先輩でもありました。

「何しろやっぱり石橋さんは、ああ見えてまぁすごく優しい、あの、“気遣いの人”というか。番組とかでも僕にすごく気を使ってくれて、“中居くんがいいんだったらいいよ~”とか“中居くんに任せるよ~”って言ってくれるようなスタンス」(ニッポン放送『中居正広のSome girl' SMAP』2010年9月25日)

「僕のことを“ナカさん”って呼ぶので、もう僕も最近“イシさん”って呼んでて」

「普通に会話始めるんだよな、イシさん。久しぶり感がない会話をする。イシさんとは。一緒にいると楽しいのよ、ずーっとしゃべってくれる、あんなこと、こんなことって。うん、すっげぇ優しいお兄さんですから」(いずれも、ニッポン放送『中居正広のSome girl' SMAP』2010年12月25日)

 そして『うたばん』の放送終了直後、中居さんは番組と過ごした14年間を振り返り、こうつぶやきました。

「受け入れてくれた石橋さんには、すごく感謝をしたい」

「司会を間違いなく成長させてくれた番組ですし、もしかしたら『うたばん』の経験というのがなかったら、紅白とかもなかったかもしれない」(いずれも、ニッポン放送『中居正広のSome girl' SMAP』2010年9月25日)

感慨深い、2人の共演

『うたばん』が終わって8年、それから今日までの間、中居さんにも石橋さんにも、大きな節目となる出来事がありました。

 中居さんは2016年にSMAPが解散し、ソロ活動が本格化。石橋さんは2018年に冠番組の『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が放送を終了。30年続いた番組の歴史の先で、いま新たな芸能生活の日々をスタートさせています。

 そんな2人の久々の共演が見られると知り、感慨深くなってしまうのは、私が放送開始時には中学生、そして放送終了時には社会人として人生のいろんな場面で『うたばん』を見ていた、茶の間の一人だったからでしょう。

 “荒っぽい芸風で、でも本当は真面目で、そしてめちゃくちゃ優しい“あの2人が、久々にカメラの前でそろったとき、一体どんな表情を見せるのか。

『うたばん』とともに人生の一時を過ごした私は、そんなことが今から楽しみで楽しみで、しょうがないのです。


乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181