16:44
「父が悪性の脳腫瘍でこの11月から入院しているのですが、状態が芳しくないんです。ネットやテレビでも見たし、噂にも聞いていたので初めて来てみました」
と板橋区の美容関係勤務・水野弓さん(仮名、44)。
「まずは“父の病気が治りますように”ということです。
もうひとつ、私の職場の人間関係が悪いんですね。先輩や後輩に、性格が歪んでいるというか、嫌な人が多いんです。私は職場を変わりたくないので、そういう人たちがクビになってほしいと思って」
と率直に打ち明けた。
知人男性から「縁切榎を参拝したら仕事上のトラブルが飛び散るようになくなった」と聞いて気になっていた。
「その男性は非常に鈍感な人なんですけれども、どうやら事故物件の部屋に住んでいたらしくて、暗くなると幽霊が出たり、人の気配がしたり、物音が聴こえたりしたんですって。次第に精神的におかしくなっていったんです。
お祓いをしてもらったとき、“悪霊がついている”と言われたそうです。それでここに参拝したら、あっという間に怪奇現象がなくなり、顔色もどんどんよくなっていったんですよ。父も私も、そうなれたらいいなと思って」
と水野さん。本当に、ここのご利益はすごいと強調していた。
16:52
「今日で100回目ぐらいかしら。20年前はタバコを断つために来て、すぐに達成できました。5年前には断酒に成功しましたね」
と板橋区の化学薬品会社勤務・田島香織さん(仮名、52)は成功体験を明かす。
「今回、来たのは、母が高血圧で脳動脈瘤。弟が腎臓が悪くて通院しているんですね。それで“病気が治りますように”とお祈りしているんです。お陰さまで、2人とも症状は穏やかになってきています」
17:07
本堂で5分、初代の榎に手を当てて3分、真剣な表情で拝む男性がいた。板橋区の通信関係会社勤務・中山忠明さん(仮名、50)だった。
「7年前にここを見つけてからほとんど毎日、通勤のときなどに来ています」
と中山さん。
祈っている内容とは――。
「13年前、胃潰瘍で手術した母が医療ミスに遭いましてね。一定の金をもらって和解したのですが、それ以降、脳に血が届かなくなって認知症になったんです。あんなに他人に気遣いができる、人の気持ちを察することのできる母が性格まで変わってしまった。
10年前から特養老人ホームに入っていて要介護5です。だから、こうして毎日、母と病気との縁切りを願ってここへ来ているわけです」
その甲斐あってか、平癒とはいかないものの、状態は平行線という。
「認知症はなかなか治らないものですが、状態は悪化していません。少しはご利益があるようですね」
と中山さんは微笑んだ。
病気と闘う家族のために祈る人の思いは強い。
17:36
「ネットでパワースポットと出ていたので、2か月前に来てから今日で4回目です」
というのは、埼玉県ふじみ野市在住の不動産会社勤務・藤村雅治さん(仮名、36)。
「職場の悪い人間関係を切りたいと思いまして。面倒をみてきた後輩が、仕事を覚えた途端、ボクの足を引っ張りはじめたんですね。ボクより多く仕事をしているという上司へのアピールがすごいんです。無理してまで仕事を多くやってきてね。嫌なヤツでしょう。
ええ、少しずつですが、効いてきている感じはあります。機械が壊れてヤツの仕事ができなくなったりしてね(笑い)」