裁判の結果、個人が特定できたことについて被害児童は「これで(いじめの深刻さを)いろんな人に伝えられるのでよかった」
と安堵した。母親もこう話す。
「匿名で書かれることは相手が見えません。バレないと思い、エスカレートしていきます。しかし、被害者は傷つくんです。こちらは警戒もできませんし、不安や恐怖にさいなまれます。書き込んだ人には、反省をさせたい」
ただ、匿名掲示板で誹謗中傷され、学校でのいじめがネットにも発展していったのは、「学校の不適切な対応が背景にあった」と母親は指摘する。
謝罪する校長、でもいじめは否定
被害生徒がいじめを受けるようになったのは、中学に入学した15年5月。サッカー部に入部すると、同級生の間でLINEグループができた。しかし、2日後、なぜか、被害生徒はグループから外された。
そのことを知った教員がグループ参加者全員に注意した。被害生徒は「チクった」と言われるようになり、無視されたり、仲間はずれにされた。そんなとき、LINEでこんなメッセージが送られてきた。
「しねかす」
「ごみおつ」
部活の練習中にもいじめがあり、暴力を受ける。16年3月には、親しかった部員からもLINEでこんなメッセージが送られてきた。
「仕切るな」
繰り返されるいじめによって、被害生徒は16年9月、自傷行為におよび、不登校になった。母親によると、校長は自宅を訪ねてきて、
「1年生の頃から嫌がらせ等されていたことは認識してました。学校としての配慮が欠けていたことは申しわけございません。重く受け止めます」
と謝罪したという。