平成以降も、先にあげた『抱いてセニョリータ』や、元SMAPの香取慎吾が“慎吾ママ”名義でリリースした『慎吾ママのおはロック』、近藤真彦の『ミッドナイト・シャッフル』などヒット曲は存在するが、昨今のソロでの大ヒットは、ほぼ存在しない状態である。

「シングルヒットというと、滝沢秀明の『愛・革命』や堂本剛の『街』、山田涼介の『ミステリーヴァージン』あたりが目立ったところでしょうか。

 TOKIOの長瀬智也が“桜庭裕一郎”名義で歌った『ひとりぼっちのハブラシ』や、嵐の大野智の“怪物くん”名義で歌った『ユカイツーカイ怪物くん』なども知られています。

 近年は中山優馬やKAT-TUNの中丸雄一・上田竜也のように、配信オンリーとなるリリースも増えてきています」(前出・芸能記者)

 では、アーティストとしての山下の需要は低いのだろうか。あるスポーツ紙記者が言う。

「アーティストとしての山Pは、特に2012年にワーナーに移籍してから、海外の最先端の流行を取り入れるなど、売り上げよりも自分のやりたい音楽をやるという印象が強いです。俳優業への考え方と音楽は、完全に別物なのでしょう。これは各グループを脱退した、赤西仁や渋谷すばるのソロ、堂本剛のソロプロジェクトなども同様のスタイルですよね」

 山下は昨年、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)と契約し音楽活動を再開したばかり。昨年11月リリースのアルバムは、チャート1位を記録しており、決して彼の需要が低くなったわけではないという。

「多くの特典やイベント、歌番組でのプロモーションもほとんどない単独のアイドルとしては、十分な数字だと思います。音楽的志向を前面に押し出すタイプではありませんが、好きなことをやるプロジェクトとしてとらえれば、売り上げや順位は問題ではない。

 映画やドラマはヒットするのに、CDがあまり売れていないような印象を受けるのは、まだまだ山Pのアイドル色が強いせいなのかもしれません

 脱アイドルの難しさ、である。

<取材・文/渋谷恭太郎>

*文中にオリコンチャート1位はHKT48とありましたが、正しくはSTU48でした。訂正して、お詫び申し上げます(2019年2月16日22時50分修正)。