ただ、今回の土下座に対してネットの反応をみていると、違和感をもった方も多かったようで、日本人にとって謝罪の際に“土下座をする”という行為は、たやすくやってはいけないものなんだなということがわかりました。個人的にも今回の件については、“これだけやったんだから皆もう責めるなよ”といったパフォーマンスのようにもみえてしまいましたね。

 日本の謝罪文化は、責任感や誠意のあらわれでもあるので好きな部分ではあるけど、不倫も薬物問題も、裁くのはあくまでも“法律”だということを再認識したほうがいいかもしれません。

 世間からの非難の声が大きすぎるがあまり、裁判で、「社会的制裁をもう十分受けた」といった理由で減刑されるケースもありますが、これはあってはいけないことなのではないでしょうか?  世間で騒がれたからといって罪が軽くなるのはいかがなものかと思います。被害者が置き去りになってしまうことにも繋がりかねない。

 かつて私がアメリカに住んでいたころ、著名人が不祥事を起こして声明文を出すようなことがあったとしても、公の場で謝罪会見を行うところはほとんど見たことがありませんでした。また、社会がそういったものを要求するような流れもなかった。

 法律によって罪そのものが正しく裁かれるためにも、昨今のエスカレートする謝罪風潮はいかがなものかなと思うんです。

 <構成・文/岸沙織>