また、嵐のネット解禁は、「これまで写真や動画をネットにアップしない」という方針を徹底してきたジャニーズ事務所にとって、そのイメージを変える大チャンス。世間の人々にも、メディアにも、「ジャニーズ事務所はネットを有効活用しますよ」という格好のアピールになったのは間違いありません。今後、若手グループを中心にした世界戦略を考えるうえでもSNSは欠かせないツールであり、その意味でも1つの分岐点になりそうです。
グループのバランスを整える二宮
会見でのコメントは、松本さんと櫻井さんが大半で、大野智さん、相葉雅紀さん、二宮和也さんの3人は、それほど多くを語りませんでした。
しかし、大野さんはリーダーらしく、誰よりも先に「嵐、今日で丸20年、みなさん、おめでとうございます」とファンを祝福するという姿勢を見せました。相葉さんは、「SNSどころかネット全般に弱い」というキャラクターを前面に押し出して、会見に笑顔をもたらしました。二宮さんは、その相葉さんだけでなく司会者にもツッコミを入れるなど、バラエティ番組のMCのような役割を果たしていました。5人が適材適所で役割を果たしていたのです。
とりわけビジネスパーソンの参考になりそうだったのは、二宮さんの振る舞い。接着剤のように5人の会話をつないだほか、「先に他のメンバーに話させる」「そのうえで誰も言っていないことにふれる」という気の利いた振る舞いをしていたのです。
たとえば、「残りの約1年間でどうしてもこれだけはやってみたいことは?」と聞かれたとき、二宮さんは5番目に回答。「僕らは、東京五輪・パラも 、NHKさんのほうでガッツリやらせていただくので、『世界中の人たちとコミュニケーションを取りながらやっていけたらな』と思っています。またユーチューブやインスタグラムなど、『どこの地域や国で認知していただけるのか?』もやってみないとわからないことなので、『歓迎されているところにはご挨拶に行けたらな』と思っています」とコメントしました。
この日の会見では、11月9日から11日までアジア4都市をまわる緊急記者会見「JET STORM」や、来春の北京コンサートが発表されたほか、ツイッターが日本語・英語のダブル表記であるなど、「世界」は重要なキーワードの1つ。それを最後にしっかり伝えることで、グループとしてのコメントバランスを整えるとともに、4人のコメント内容をフォローしていたのです。
ビジネスパーソンのみなさんも、「自分はグループの何番目で、『前の人が何を言っていたか』をどれだけ踏まえられるか」を意識してコメントしてみてはいかがでしょうか。