原作使用料の相場について、国内外のアニメに詳しい映画ライターの杉本穂高さんに話を聞くと、
「だいたい原作使用料の相場としては、200万円から400万円だといわれています。ただ、基本的に映画会社が直接お金を払っているのは出版社に対してです。
映画会社から出版社に支払われ、出版社から原作者に支払われます。一般的には原作使用料が400万円だとしたら、その6割から8割くらいが原作者に支払われる相場だそうです。この割合は、出版社と作家個人での契約の内容によっても変わります」
杉本さんは、原作使用料の大小だけでなく、「総合的に、どのくらいの金額が原作者に入るのかが問題」と話す。
「映画なりアニメになったときに、原作者がもらうお金は、最初に支払われる原作使用料だけじゃないんですね。いわゆる“二次使用料”というものですけど、たとえばDVDやブルーレイになったとき、その売り上げ数に応じて支払いがあります。
また、契約内容によってはグッズ販売による収入の一部も入ってきたりする。最初の手付金としての原作使用料の額面だけで、高いからどうだ、安いからどうだと判断するのもあまりよくないのかなとも思います。あまりに安すぎる場合は非常識だとは思いますが……」
原作使用料には、実は規定が定められているという。
「社団法人日本文藝家協会が、『著作物使用料規定』というもので、一応上限として1000万円というのが協議して決まっています。規定には下限は書いてないんですが……(苦笑)。DVD等の販売のインセンティブは、“本体価格の1.75%×出荷枚数”というのが基本。ただ、個別の契約によって上下はあるでしょう」(杉本さん)
原作使用料が高かろうが、安かろうが、ヒットするかしないかは別問題。
多くの人々の心に響いた『100日後に死ぬワニ』だが、メディアミックスした媒体でも同じような結果を生むことができるのだろうか。