風間は俳優だけでなく、タレントとしても汎用性が高い。温厚なイメージの上に、「既婚者で子どもがいる」という安心感があり、加えてディズニーやステータス(航空会社の会員資格)を熱く語るマニアックな一面が個性として機能。
さらに、親友の相葉雅紀を筆頭に、ジャニーズの主力クラスと親交が深いため、自然体で絡んで盛り上げられる。あるいは、「ジャニーズなのに踊れない」「カウントダウンコンサートに呼ばれない」などの自虐トークで盛り上げられることも強みだ。
ポジション的にも、レギュラー、ゲストから、コーナー進行、MCまでこなせるところが、起用する制作サイドにとっては心強い。ジャニーズの王道路線ではない風間はポジションにとらわれず、いい意味で気軽にオファーできるし、昨年、今年と退所や不祥事などのスキャンダルが続くジャニーズの中では、最も安心できる存在とみなされているのだ。
ジャニーズの枠を外して芸能界全体で見ても風間の汎用性は際立っていて、単に器用というより、応用のプロフェッショナルという印象がある。
視聴者にもテレビマンにも
嫌われない
もともとジャニーズのタレントは、熱烈なファンがいる反面、強烈なアンチがいるケースが多いが、この傾向は風間に当てはまらない。以前からカッコつけるような言動がまったくないため男性層からの批判も少なく、「嫌われることがめったにない稀有なジャニーズ」と言っていいだろう。
「嫌われることがない」という点は、各局のテレビマンも同じ。その活動スタイルとキャラクターは一朝一夕にできるものではなく、風間が約23年間の芸能生活で培ったものに他ならない。中堅・ベテランのテレビマンたちは、現在に至るまでの道のりを見てきた人も多く、「努力が実を結んだ」「やっと時代が風間に向いてきた」と感じているようなのだ。
アイドルとしての歌やダンスではなく、俳優としての演技と、タレントとしてのキャラクターで勝負。そんな風間の活躍を見た後輩ジャニーズたちの間にも、「嵐ではなく風間さんのようになりたい」という人が増えていくのではないか。
先日、知人のある演出家が風間のことを「今、大河ドラマで演じている徳川家康は風間にピッタリ。『鳴くまで待とうホトトギス』とばかりに、焦らずさわがず努力を重ねるところが似ている」と評していた。付け加えるのなら、まもなくスタートする『監察医 朝顔』で風間が演じる桑原真也の真摯な人柄も時折、本人にダブるときがある。
もっと言えば、出世作の『3年B組金八先生』(TBS系)で演じたイジメの首謀者・兼末健次郎も、『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で演じた少女殺人犯・三崎文哉も、いまだに「風間自身に似たところはないのか?」と重ねてしまうときがある。
こんなに好感度が高いのに何年すぎても悪役の印象が消えないのは、風間の演技力にほかならず、単なる優男に収まらない人間的な深さも、魅力の一つなのかもしれない。
木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各番組のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、主要番組・新番組、全国放送の連ドラはすべて視聴。著書に「トップ・インタビュアーの「聴き技」84」「話しかけなくていい!会話術」など。