亡くなるまでの対応は遅いが、亡くなった“後”の対応は非常に早かった。
「病院で亡くなったことを確認した後、すぐに“示談の話が弁護士からあるので、この日に来てほしい”と。示談をするつもりはありませんと伝えて、そこから彼女側からいっさい連絡はありません」
現在『わんわんハウス』のホームページはトップページしか閲覧することができなくなっており、そこには代表取締役である大山田氏の名義で以下のような文章がある。
《この度わんわんハウス若松店にて生後4ヶ月から半年に渡りお預かりしていました犬が亡くなる事故がありました。この様な事故が起きた事について、大変申し訳なく思っております。飼い主様に対しましては、弁護士と相談の上、誠意を持って対応して参ります》
店長の大山田氏本人に話を聞くと
被害者に示談の意向がないことを知ってからは、いっさい連絡がないというが、当事者は今回の件をどのように捉えているのだろうか。大山田氏本人にも話を聞いた。
「現場を任せていた者とのやり方の対立がありまして、首輪を外すかどうかで何度も争いました。でも、私はスタッフを守ることのほうを重んじているんです。亡くなったアダムには申し訳なく感じますが……。私は38年間業界にいますが、どちらかというと最近の傾向は犬を崇拝することになっていますよね。“お犬さま”がいて、私たちにも過度なケアを求めるお客さまがいます。お客さまの言われるように全部やらなくてはいけないと言ったら、申し訳ないですが、とてもこの商売はやれません」
首輪については、息がしづらいくらい締め付けていたらしいが……。
「実際に作業場を見てほしいのですが、アームを首につけるだけだと、犬がうろうろしてしまって、犬自体も危ないんです。特に爪切りのときなどは、さらに首輪でくくり付けて固定しないと噛まれてしまいます。今回のことは“犬を守れ”と言いますが、私は人の命のほうが大切なので、人がやりやすいようにしないと仕事にならないんです」(大山田氏、以下同)
アダムの飼い主である奥さんは、アダムは噛むような犬ではないと話していた。
「確かに噛まなかったですが、飼い主さんが首輪をしない方だったんです。だから苦しかったのかもしれません」