アニメという存在が一躍メジャーなものに
『エヴァ』はテレビシリーズの放送が終了してから、じわじわと話題になり、一般紙やワイドショーでも取り上げられるほどの社会現象になった。“中の人”の宮村には、どんなふうに映ったのだろうか?
「正直、怖かったです。今の若い子は信じられないかもしれないけれど、当時は本屋さんのアニメコーナーって一番奥の片隅だったんですよ。それが『エヴァ』が社会現象になり、コンビニの雑誌コーナーに“エヴァンゲリオン特集号”って雑誌が並んでいるんです。
それまでは本屋の奥に置かれていたのに、一般の雑誌や新聞、アニメと関係のないメディアまでが取り上げていて、こんな白日のもとにさらしてしまっていいんですか!? という気持ちでした(笑)」
『エヴァ』人気が定着してアニメが一般に、より浸透してくる中、'07年に宮村は結婚し、オーストラリアへ移住。仕事のときに日本とオーストラリアを行き来する生活になった。
「10年くらい日本を離れていました。海外でも『エヴァ』は人気でしたけど、好きな人たちは地下のアニメショップみたいなところに集っているわけです。だから、日本に帰ってくるたびに驚きですよ。世の中にアニメがあふれてる、って」
4部作からなる、新劇場版3作目の『:Q』('12年公開)。物語が急展開を迎えたことで、ファンたちの中でネット上でも盛り上がりを見せた。
「私は公開前にオーストラリアに戻ってしまったので、日本での盛り上がりは知らなかったんです。作品の今後の展開については、収録のときに聞いても明確な答えが返ってこない場合が多くて……。
自分で考えながら、監督の意図を汲んで収録に臨んでいました。だから、あとからみなさんがネットで考察されているのを読んで“なるほど、こうなんだ!”みたいなことがありましたね」
アフレコ時は、絵が未完成の状態で声を吹き込んでいたため、『:Q』の完成したものを自分で見たのは映像商品が発売してからだったという。
「私自身、“中の人”というよりファン目線のほうが強くて。収録しながら“次はどうなるんだろう”“監督はこの先どうするのかな”ということを考えていて(笑)。なので、シンプルに完成したものを見て楽しんでいました」