国際社会から取り残された
日本政界の“女性活躍”

 まずは国際社会に目を向けてみたい。世界の女性大統領、首相で最年少は、北欧フィンランドで'19年末に生まれたサンナ・マリン首相だ。1児の母にして、同国では歴代3人目となる現在35歳の女性首相である。閣僚19人のうち女性は12人と過半数を占め、男性の7人を圧倒する。

 昨年9月、菅政権が誕生し、自民党執行部のメンバーが固まった際、日本とフィンランドの政治風景を象徴する比較写真がネットで話題になった。

 1枚は菅首相や二階幹事長ら自民党幹部5人が横並びになり、拳を合わせるオジサンだらけの写真。平均年齢は71歳を越える。もう1枚は、自然豊かな緑をバックに、マリン首相と女性閣僚4人がそろった爽やかな写真で、対照的な絵面に、ツイッターで皮肉の声が相次いだ。

「日本は何周遅れなの?」

「日本はあと百年かかるかも」

 周辺国を見てみると、ドイツメルケル首相(66)はあまりにも有名だが、隣国のデンマークにはフレデリクセン首相(43)、さらにその隣のベルギーにはウィルメス首相(46)がいる。ノルウェーソルベルグ首相はこのほど、コロナ禍の中で60歳の誕生会を開いたとして罰金刑を科されたが、欧州にはとにかく女性のトップが多い。

 ニュージーランドアーダーン首相(40)は、現職の首相として初めて産休を取ったことで注目された。米国では副大統領に初めて女性ハリス氏(56)が就任し、耳目を集めた。

 現職でなければ、アジア域内にも、女性が大統領および首相を務めた国は少なくない。まずはフィリピンだ。上院議員の夫が暗殺されたアキノ大統領(在任1986〜'92年)と米国に留学中、クリントン元米大統領のクラスメートだったアロヨ大統領(同'01〜'10年)の2人が誕生し、インドネシアはスカルノ初代大統領の長女、メガワティ大統領(同'01〜'04年)、タイには国外逃亡中のインラック首相(同'11〜'14年)がいる。そしてクーデターで国軍による弾圧が続くミャンマーでは、「民主化の象徴」と称されるアウンサンスーチー氏が、この2月までは事実上の最高指導者だった。一連の不祥事で最終的に大統領弾劾が成立して罷免されはしたが、韓国でも、朴槿恵(パク・クネ)氏が'13年、同国史上初の女性大統領に就任した。

 欧米だけでなく、足もとのアジアでもこれだけ女性のトップが輩出されているのだ。しかしながら日本は「女性活躍」が叫ばれていながら、女性首相が誕生する兆しがまるで見えない。そんな事情を裏付けるかのように、3月末に世界経済フォーラム(WEF)が発表した世界156か国の男女格差を比較した最新の報告書で、日本は120位と前年に引き続き低順位だった。理由は、政治と経済で閣僚や経営者層の女性が少ないためだ。