実は“紅白にもっともふさわしい歌手”!?
しかし歌唱に入ると、2人のパフォーマンスが、直前の“漫談の人”とは思えないほど鮮やかでうまい。光一は、ダンサーたちと激しく踊っても息切れすることなく甘い歌声をキープしているし、剛のほうは、ギター演奏を交えながらけだるく歌ったり、切なく歌ったりと声色をシフトさせるのが上手だ。
“マイクをぐるぐる回しながら自己陶酔気味に歌う”という堂本剛をモノマネしたネタがあるが(光一によると、10代のころらしい)、実物を見てしまうと、似ても似つかない。その単調なモノマネにイラっとしてしまうほど(笑)、実際はいろんな歌い方を交えているのだ。
例えば、冒頭の『KinKi Kids O正月コンサート2021』では少年隊の『What's your name?』と『FUNKY FLUSHIN‘』をカバーしているが、少年隊は“華麗なダンスを魅せる”というショー的な要素が強いのに対し、KinKi Kidsの場合はファンキーにノリよく歌っていて、歌手としての魅力がよりクローズアップされる。かと思えば、『O album』収録のバラード『新しい時代』では、ストリングスも相まって繊細な世界を歌いあげているし、ラストの『Happy Happy Greeting』では、鏡餅とみかんの被り物に身を包んで元気よく歌い、全力でパフォーマンスしている。
彼らは、紅白歌合戦への正式な出場は'16年に一度出たきり。あとは、ジャニーズ御用達の音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)ですら、年に1、2回出演する程度で、不特定多数には彼らの魅力が届きにくい。だからこそ、“沼落ち”する延べ10万人だけがどんどん深みにハマっていく、という状況が続いているのかもしれない。
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しかし、これとは別に興味深いデータもある。『タレントパワーランキング』(名前や顔を知っている“認知率”と、見たい・聴きたい・知りたい“誘引率”を掛け合わせたスコア)にて、現役でCDをリリースしているジャニーズ・グループのスコアを見てみると、回答者を10代・20代に限定した場合、1位:King&Prince(35.3ポイント)、2位:Sexy Zone(31.7)、3位:関ジャニ∞(31.2)、4位:V6(30.7)、5位:KinKi Kids(29.8)と、KinKi Kidsは決して上位ではない。
しかし、調査全対象の10代から60代までで見ると、1位:KinKi Kids(32.5)、2位:V6(30.5)、3位:関ジャニ∞(27.9)、4位:King&Prince(26.9)、5位:Kis-My-Ft2(24.9)とKinKI Kidsはトップに躍り出るのだ。この点からも、彼らこそジャニーズの中で“紅白歌合戦にもっともふさわしい歌手”と言えるかもしれない。
近年、大ヒットから遠ざかっているとはいえ、サザンやユーミンのようにかつての大ヒット曲を披露すれば、その存在の大きさが分かるだろうし、最近の楽曲でも『薔薇と太陽』や『KANZAI BOYA』、『愛のかたまり』などは幅広い世代が興味を持つような気がする。毎回10〜20万人ほどが購入するとはいえ、「ファンのものだけに留めておくにはあまりにもったいない逸材だ」とこの際、断言しておきたい。