「5歳児の1人暮らし」で泣き笑い
そのドラマは、毎週土曜23時30分から放送されている『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)。同作は1人暮らしをはじめた5歳児と、同じアパートの住人たちとのやり取りを描いたハートフル・コメディで、『マルモのおきて』と似ている点が多い。
物語は、あるアパートで自堕落な日々を送る売れない漫画家・狩野進(横山裕)の隣室に、5歳児のさとうコタロー(川原瑛都)が引っ越して1人暮らしをはじめるところからスタート。
コタローは住人たちにティッシュ1箱を配って回るなど、5歳児とは思えないしっかり者だが、ときに子どもらしい健気さや寂しさがにじみ出てしまうところが『マルモのおきて』の薫(芦田愛菜)と友樹(鈴木福)に似ている。また、親がいなくて、周囲の大人たちに見守られているところも同じだ。
そんなコタローを心配で放っておけず、世話を焼こうとする大人たちの優しさもポイントの1つ。
狩野を筆頭に、キャバクラ嬢の秋友美月(山本舞香)、コワモテふうの男・田丸勇(生瀬勝久)、保育士の花輪景介(西畑大吾)、弁護士の小林綾乃(百田夏菜子)がコタローとの交流で、彼を助けるだけでなく、気づきを得て成長していく様子が描かれている。
この点も、『マルモのおきて』の高木護(阿部サダヲ)、居酒屋クジラの畑中陽介(世良公則)、畑中彩(比嘉愛未)らと似ていると言っていいだろう。
コタローを演じる川原瑛都が芦田愛菜や鈴木福、狩野を演じる横山裕が阿部サダヲ、さらに、生瀬勝久と山本舞香が世良公則と比嘉愛未に重なるのだ。そして『コタローは1人暮らし』と『マルモのおきて』、どちらの登場人物も、血のつながりを超えて家族のような温かい関係性を徐々に築き上げていく様子が静かな感動を誘う。