絡んでいない人もブロックする心理
ネット、そしてSNSの普及によって有名人たちの仕事には変化が生まれた。
「テレビの露出があれば食べていける時代ではなくなり、SNSなどでファンを獲得していかないと生き残れなくなってきています。ある程度、自分でファンやそのコミュニティーを作っていかなくてはならない。そうなったときにやはりクソリプは、営業上の不利益が多くなる。例えば“こういう発信をしたら、いろんなツッコミやヤジが飛んでくるんじゃないか”というように、自分が発信することに対してハードルが上がってしまう。発信することが億劫になってしまったり、恐怖感が生まれかねません」
クソリプを送った人をブロックする心理はわかるが、冒頭の田村淳や河野のように、“絡んでいない”状態でブロックする心理とは?
「ブロックしている方の判断の部分になりますが、過去のその人の発言を見てコミュニケーションをとりたくないなとの判断でしょう。ちょっとヘイトじみたことをしていたり、フェイクニュース的な事実とは異なるような発言をしていたり。政治家からするとフェイクを巻き散らされたりすることは大迷惑。本来は支持者だった人が離れていってしまう可能性もある。このような人とコミュニケーションすること自体、非常にマイナスになるということですね」
河野はブロックに対して、「ブロックするのはフォロワーさんにひどいリプを見せたくないから。だから私は堂々とブロックします」と発言。
「“ブロックしても、そのリプライはほかのユーザーに見える”ということをジャーナリストの津田大介さんが指摘していました。それも正しいのですが、そこで河野さんとブロック対象者間のコミュニケーションが遮断されるというメリットも」
ブロックされた相手は河野のツイートが見られなくなるので、それ以上やりとりはなくなる。結果それ以上、ほかのユーザーが、罵詈雑言や誹謗中傷が飛び交うような状態が極力見えないようになる。
「河野さんのおっしゃっていることは間違いではない。とは思いつつも、政治家がコミュニケーションをとらないというのは、どういうことなんだという一面ももちろんあると思います。明らかに誹謗中傷的なものは政治家であってもコミュニケーションをとる必要はないでしょう。ただ、ではそこの判断はどこなんだとなると難しい。線引きはなかなかできない。どうしてもユーザー、つまり河野さんの判断になる。そうすると、“これは誹謗中傷じゃなくてあなたへの意見でしょ”というものまでブロックすることも当然出てきてしまう。このあたりの判断は難しいですよね……」