ピュアなアルコールを生み出すこだわりの蒸留技術
「長い歴史を持つ焼酎メーカーだからこそです。洗練された甲類焼酎を生み出す蒸留技術と、貯蔵する焼酎のバリエーションの豊富さやブレンド技術が強みになっています」
江沢さんのこの評価は、奈良さんの説明に裏打ちされる。
「甲類焼酎の製造には連続式蒸留機を使います。その性能によって仕上がりは大きく変わるのですが、当社は優れた蒸留機をそろえており、それを扱う技術もあると自負しております。
結果、雑味成分を取り除き、限りなくピュアなアルコールができあがるのです」
加えて、さまざまな味わいを引き出せる樽貯蔵熟成酒の存在が大きい。「宮崎県の焼酎蔵に約2万樽、約85種類」に及ぶというから驚きだ。
こうして深い味わいとコクを育んだ甲類焼酎「宝焼酎」をベースに、タカラ「焼酎ハイボール」は造られている。
ちなみに焼酎ハイボールの略称とされるのが“酎ハイ”。缶入りのチューハイにはウオッカをベースに炭酸や果汁で割ったものもある。対してタカラの「焼酎ハイボール」の場合、ウオッカは使わず、あくまで焼酎をベースにしている。
「ウイスキーを炭酸で割ったのがハイボール。そのルールに従えば、焼酎を炭酸で割った焼酎ハイボールこそ本物のチューハイです」(江沢さん)
美味しい焼酎を造ることに絶対的な自信を持っている宝酒造。その武器があるゆえに、「甘さに頼らなくても、目指す焼酎ハイボールを実現できた」と話す奈良さん。
当初、甘くないチューハイは市場に受け入れられなかった。だが異質な要素がいつしかほかのチューハイにはない魅力として輝き、焼酎のうまさとともに受け入れられていった。
「甘くないから食事と一緒に楽しめるという声は多いです。料理の味を邪魔せず、相性がいい。食事しながら美味しく飲めるわけです」(奈良さん)
レモンやドライなどフレーバーによっては甘味料、糖質、プリン体がすべてゼロというのも、健康が気になるユーザーにはうれしいところ。
「何度飲んでも飽きがこない。まさに長く飲み続けられる=ドリンカビリティが高いですね」(江沢さん)
下町の大衆酒場由来ということで愛飲者は中年男性中心。しかし最近は昭和レトロブームの影響もあり、女性ファンも増えているそうだ。