「女の子をひいたことがわからなかったなんて、まったくのウソ、デタラメ。事故を起こしたあと、いったん車から降りてきて、確かめてから逃げてしまったんだから」
目撃者は怒りの声をあげていた−−。
1日の午前11時38分ごろ、悲惨な交通事故が大阪市生野区の御幸通り商店街で起きてしまった。ここは通称コリアタウンと呼ばれ、キムチなどを販売する韓国食料品店や飲食店、民族衣装の店がおよそ300メートルに渡って立ち並んでいる。
「事故が起きたのは商店街の中ほどで、道幅3メートルとかなり狭いところ。平日ではあったが、夏休みに入ったということもあって、道に人があふれ返っていたときだった」(冒頭の目撃者)
昼の10時から12時と、夕方の4時から6時は車両が通行止めになる時間帯なのだが、
「1台の黒いワンボックスカーがスルッと入ってきたんです。おやっと思っていたんですが……」(同・目撃者、以下同)
名古屋市から観光で来ていた1歳の女児とそのきょうだい3人、両親の6人家族に車がスーッと近づく。すると、
「1歳の女児がタイヤに巻き込まれてしまった。車が停まって、運転手が降りてきたが、ちょっと車の下をのぞいて、すぐにまた車に乗って逃げ去ってしまったのです」
倒れていた血まみれの女の子
別の目撃者はこう話す。
「倒れていた女の子は血まみれでした。父親が車のあとを追いかけ、母親はワーッと泣き叫んで110番通報をしていました。パトカーと救急車が来て、心臓マッサージしていたけど……」
その後、女児は病院へ搬送されたが、すぐに死亡が確認された。
逃走した男は、その日のうちに逮捕。逃げ去った車のナンバーを、母親が警察に告げていたからだった。大阪府警生野署に過失運転致死と道交法違反(ひき逃げ、通行禁止違反)などの疑いで逮捕されたのは、事故現場から6キロメートル弱の東大阪市に住む固城義和こと、韓国籍の鄭仁煥(ていにんかん)容疑者(74)。
警察の取り調べに対して容疑者は、
「車は降りたが、子どもは見ていない。怪我をさせた認識もない」
と容疑の一部を否定。さらに、逃走したいきさつについては、
と、あきれた言い訳を述べている。いったいどんな男なのだろうか−−。
「約10年前、家賃が月3500円で1Kのアパートを借りていた。まぁ、ろくなやつじゃないですよ」
そう語るのは、容疑者の知人だ。
このアパートは寝泊まりするのではなく、昼間に仲間を集めて麻雀をするために借りたものだという。
「寝るところは別にあったと思う。以前はアパートの駐車場にあの黒いワンボックスカーを見かけたよ。でもたびたび家賃を滞納していたからなのか、駐車場を使えなくなって別のところへ移したみたい」(同・知人、以下同)
日本で生まれ育ったという容疑者。
「仕事は何をやっていたのか知らないんだよね……。今はあの歳だから無職で、生活保護を受けて暮らしていたんじゃないのかな」
過去には結婚して40代になる娘も一人いるが、今は独り身。家族で交流があるのは妹だけで、容疑者は彼女が経営する飲食店の手伝いをしていたとも。
「たぶん、店の食材を仕入れるために、コリアタウンに車で行ったんだと思うね」
生野署は逮捕時に過失運転致死としていた容疑を、送検の際には“危険運転致死”に切り替えている。
「容疑者の供述は誰がどう考えても矛盾だらけで、辻褄が合わない。より量刑の重い危険運転致死に切り替えたのは、それだけ悪質だということ」(捜査関係者)
わずか1歳で人生を終えなければならなかった女児の無念と、遺族の悲しみに報いるためにも、厳罰をもって処してほしい。