目次
Page 1
ー 唐突な話ではなかった
Page 2
ー 平野がもつ「死への強い意識」
Page 3
ー 「調子に乗らない」岸、「メンバーに寄り添う」神宮寺
Page 4
ー ジャニー喜多川が予感していたこと

 そのデビューは鮮烈だった。

 グループ名は「King & Prince」。『シンデレラガール』という“ザ・王道”なアイドルソングを引っ提げ、純白の衣装に身を包み、まばゆいばかりのキラキラオーラを放った6人。その姿は、歌よし、ダンスよし、ビジュアルよしの“完璧なアイドル”に見えた。ジャニーズから遠ざかっていた大人たちも、この若きグループに心を奪われた。

 しかし、“完璧なアイドル”は、裏側ではそれぞれが苦悩を抱えていたのだ。

(以下、文中敬称略)

唐突な話ではなかった

 11月4日深夜、「King & Prince」(以下、キンプリ)の岸優太平野紫耀神宮寺勇太の3名が2023年にグループからの脱退、そしてジャニーズ事務所から退所することが発表された。2018年のデビューから5年の節目を迎えて、3人が去る――。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 平野は退所の理由を、「自分の年齢と向き合ったときに海外で活躍できるグループを目指すのは、もう遅いなと感じ、目標を失った」と、説明。「もう遅い」「目標を失った」――世間が抱いていた“キラキラのアイドル”のイメージからはほど遠い発言が重なったようにも聞こえた。

 しかし、彼らのこれまでの発言や行動を振り返ると、このコメントは突飛なものではないことがわかる。むしろ、彼らのこれまでの延長線上にあるコメントだ。

 仕事に責任感をもって取り組み、繊細さもあわせ持ちながら、さまざまな感情を抱えてきた彼ら。“完璧なアイドル”のイメージとは裏腹に、「生きづらさ」を感じていたのだ。

 今回、3人の脱退・退所の大きな理由となっているのが、キンプリとしての海外進出に対するメンバー間の温度差だ。3人は海外進出への意欲が強かったと言われているが、そもそもグループのデビュー時から、海外進出という希望はあった。